一度は聴いて欲しいソフトロックのおすすめ名盤11選
ソフトロックとは、1960年代後半から1970年代前半にかけて製作され、80年代以降に再評価の動きが高まった音楽ジャンルのことです。
国内外の解釈も異なっていて、明確な定義があるジャンルではありませんが、美しいメロディーと多重のコーラスを特徴とする柔らかいロック(ポップ)のことを大きく指します。
ルーツとしてはThe Beach Boysの「Pet Sounds」が挙げられることが多いです。
今回はソフトロックの定番の名盤を11選にして紹介します。聴いたことないアルバムがあったら是非聴いてみてください。
The Millennium「Begin」(1968)
まず紹介するのはソフト・ロックの代表的なバンド「The Millennium」。
「Begin」は彼等の唯一のアルバムですが、前衛的であるという理由で当時は日の目を見ませんでした。再評価されたのは実に20年後の80年代になってからでした。
軽快なチェンバロの旋律から始まるインストのオープニングトラック「Prelude」は今聴いても新しく、その後の展開に心を弾ませてしまうような力があります。
全体を通して美しいハーモニーと斬新なアイディアに溢れ、甘く幻想的な一枚です。
おすすめトラック:「Prelude」「The Island」「It’s You」「It Won’t Always Be the Same」
The Association「Insight Out」(1967)
The Associationはカリフォルニア州で結成されたバンドで、このアルバムはThe 5th Dimensionの作品も手掛けたボーンズ・ハウによるプロデュース作品です。
多彩なコーラスワークが特徴で、「Windy」や「Never My Love」はそれぞれ全米1位、全米2位を記録し、60年代を代表するヒットソングとなりました。
他にもノスタルジー溢れる雰囲気の「Happiness Is」やサイケデリックな要素も含んだ「Wantin’ Ain’t Gettin’」など、幅広いポップソングに溢れた宝箱のような一枚です。
おすすめトラック:「Windy」「Never My Love」
The Cyrkle「Red Rubber Ball」(1966年)
The Cyrkle(ザ・サークル)は1960年代初頭から中期にかけて活動したバンドで、「Red Rubber Ball」は彼らの1stアルバムです。
アルバム名にもなってる「Red Rubber Ball」はビルボード・チャートで2位を記録した最大のヒット曲でもあり、ポール・サイモンからプレゼントされた曲でもあります。
元々はアコースティック・ギターが主体のバンドだったようですが、1964年にビートルズがアメリカに進出したことに強く影響を受け、ビート・グループへと変貌していきました。今作もそんなグルーブ感が冴えた心地良い楽曲が多いアルバムです。
おすすめトラック:「Red Rubber Ball」「How Can I Leave Her」
The Yellow Balloon「The Yellow Balloon」(1967)
ジャン&ディーンやロネッツにも楽曲を提供したソングライター、ゲイリー・セグリーがプロデュースしたThe Yellow Balloon。
当初はジャン&ディーンに提供した楽曲「Yellow Balloon」が、ゲイリー・セグリーの意見を無視して制作されたことから、彼自身がその曲をやるために架空のグループとして「The Yellow Balloon」を作りあげますが、メンバーがいなかったためその後の活動ができなかったという経緯があります。
明るく柔らかい陽気なポップソングで彩られたこのアルバムは現在ではソフト・ロックの名盤として知られています。
おすすめトラック:「Yellow Balloon」
ETERNITY’S CHILDREN「ETERNITY’S CHILDREN」(1968)
>ソフトロックファンから高い評価を受けているアメリカの男女混合ポップ・バンド、ETERNITY’S CHILDREN。
今作は前述のThe Millenniumのカート・ベッチャーが手掛けた1stアルバムです。
代表曲でありザ・ソフトロックな繊細さに溢れた「Mrs.Bluebird」からボサノヴァ調の「My Happiness Day」まで楽しむことができる1枚です。
おすすめトラック:「Mrs.Bluebird」「My Happiness Day」「Flowers」
The Free Design「Stars / Time / Bubbles / Love」(1970)
ニューヨーク出身のデドリック兄弟からなるファミリー・バンド、フリー・デザイン。
今作は1970年にリリースされた4枚目のアルバムで、フリー・デザインの最高傑作に挙げる人も多い1枚です。
70年代のファンクっぽさも全面にありつつ、ソフトロックらしいコーラスワークの豊かさにも溢れ全体を通して聞きやすいアルバムになっています。
Roger Nichols「Small Circle of Friends」(1968)
カーペンターズやポール・ウィリアムスらとの仕事で名高いロジャー・ニコルスのファースト・アルバム『Small Circle Of Friends』
このアルバムは1987年、日本で世界初CD化されたことをきっかけに存在が知られるようになりました。
サウンドの近さもあって、フリッパーズ・ギターが好きな人にはマストでおすすめしたい一枚です。
おすすめトラック:「Drifter」「Love So Fine」
Salt Water Taffy「Finders Keepers」(1968)
1968年にニューヨークで結成された男女混声ソフト・ロック・グループの名盤。
中心メンバーのRod Macbrienは、レコーディング・エンジニアの仕事をしていた人物で、INNOCENCEの名盤「INNOCENCE」にもエンジニアとして関わっています。
子供のコーラスが入る遊び心や中期ビートルズのような変則的なベースが味を出していて、聴いていて心が踊るような一枚です。
おすすめトラック:「Finders Keepers」「I’ll Get Along Somehow」
Margo Guryan「Take A Picture」(1968)
幼い頃からピアノを習い、ジャズ作曲家としても活動していたSSWマーゴ・ガーヤン。
このアルバムは彼女の唯一作です。
どこか生温かくて虚ろな雰囲気を醸し出す彼女の声と、フレンチポップやソフトサイケなど様々な要素が繊細に絡み合って独特なアンニュイさを醸し出しています。
淡い恋心を歌ったような歌詞とジャケットもマッチしていて、少し憂鬱な休日に聴きたくなるような一枚です。
おすすめトラック「Sunday Morning」「Sun」「Love Songs」
The Groop「The Groop」(1969)
1969年にリリースされた男2人女2人の男女混声コーラスグループ、The Groop唯一のアルバムです。
FRIAR TUCKなどカート・ベッチャー関連の仕事で知られるセッション・ドラマー、トキシー・フレンチが制作を担当しています。
ソフトロックの中でも浮遊感溢れるグルーブ感が心地良い一枚です。冒頭の「A Famous Myth」でドリーミーなバラードから始まり、最後まで心を掴まされる捨て曲なしの名盤です。
おすすめトラック:「A Famous Myth」「The Jet Song」
The Mamas & the Papas「If You Can Believe Your Eyes and Ears」(1966)
1960年に活躍し、バンド内不倫によってグループが崩壊したことでも知られるママス&パパス。
このアルバムは彼らのファーストアルバムで全米4位の大ヒットを記録した代表曲「夢のカリフォルニア」や、全米1位をヒットした3枚目シングル「Monday, Monday」が収録されています。
男女二人ずつの4人メンバーで、その混声合唱を生かし、柔らかいフォークロックのような耳馴染みの良いポップスを聴かせてくれます。
おすすめトラック:「California Dreamin’」(邦題:「夢のカリフォルニア」)「Monday, Monday」
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