人生で一度は聴いておきたいプログレッシブロックの名盤15選

プログレッシブロックとは、1960年代後半にイギリスに登場したジャンルの1つで、Progressiveとは進歩的、革新的なロックを意味しています。

全盛期も短く、音楽にある程度明るい人にしか知られていないジャンルになりつつありますが、今回はプログレの良さを知ってもらうためにも名盤を15選に厳選して紹介します。

1. Pink Floyd「The Dark Side of the Moon」(邦題:狂気)

1973年3月1日に発売されて以来アメリカだけで1500万枚、全世界で合計4500万枚以上を売り上げているモンスターアルバム「狂気」

世界で最も売れたアルバムのうちの一つと言われています。

LSDでボロボロになったバンドの顔だったシド・バレットが抜けた後のピンク・フロイドは、メンバー交代を経て、それまでのアシッド・フォーク路線から芸術性を更に高めた音楽性を追求し、この「狂気」で商業的にも大成功を収めました。

このアルバムは是非一度、全編通して聞いてみてください。

2. Yes「Fragile」(邦題:こわれもの)


イエスの4枚目のアルバムにして5枚目の「Close to the Edge」(邦題:危機)と並び最高傑作と評価されているアルバムの一つです。

音楽好きでなくとも、冒頭曲「Ronudabout」は「ジョジョの奇妙な冒険」のエンディングとして流れていたので、若い人にも比較的知られている曲なのではないかと思います。

テクニカルでキャッチーで癖になる楽曲が多く、尺も短めの曲が多いのでプログレの入門編としては最適な一枚なのではないかと思います。

おすすめトラック:「Ronudabout」「Heart Of The Sunrise」

3. King Crimson「In The Court Of The Crimson King」(邦題:クリムゾンキングの宮殿)


King Crimsonのジャケットが有名な代表作。

作詞専用メンバーだったピート・シンフィールドの紡ぐ叙情的な詞と、ジャズ、クラシックなどの要素を取り入れた楽曲は今聴いても新しさがあります。

代表曲「21st Century Schizoid Man including Mirrors」(21世紀のスキッツォイドマン)のようなヘヴィーで圧倒されるような楽曲から2曲目「I Talk To The Wind(風に語りて)」のような静かな歌物の楽曲まで収録されていて、音楽性の豊かさを楽しむことができます。

おすすめトラック:「21st Century Schizoid Man including Mirrors」「I Talk To The Wind」

4. Emerson, Lake & Palmer「BRAIN SALAD SURGERY」(邦題:恐怖の頭脳改革)


Emerson, Lake & Palmer(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)の5枚目のアルバムにして全英2位を記録したELPの代表作。

キング・クリムゾンのメンバーだったグレッグ・レイクが、ザ・ナイスを率いていたキース・エマーソンと意気投合し、その後凄腕ドラマーのカール・パーマーと合流する形で結成されたバンドです。

ジャケットは「エイリアン」で有名なHRギーガーが描いています。観音開きになっていて開くとメデューサが描かれているという仕掛けも話題になりました。

冒頭の「聖地エルサレム」から約30分を占める大曲「悪の経典」まで聴き応えはもちろん、このアルバムでもまた一味違ったピート・シンフィールドの詞を楽しむことができるのも魅力です。

おすすめトラック:「Jerusalem」(聖地エルサレム)「Karn Evil 9」(悪の教典#9)

5. Genesis「Selling England by the Pound」(邦題:月影の騎士)


プログレ5大バンドとしてピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、ELPの4バンドと共に知られているジェネシス。

メロディーの美しさ、詩的な世界観ではジェネシスは群を抜いていると思います。

哀愁溢れるピーター・ガブリエルのボーカルとオルガンやキーボードを巧みに使った楽曲が上手くマッチしていて世界観を引き立てています。

ピーター・ガブリエルがいた時のジェネシスの作品は名盤揃いですが、個人的にはこの月影の騎士が一番好きです。

おすすめトラック「Dancing With the Moonlit Knight」「I Know What I Like」




6. Camel 「MIRAGE」


イギリスのプログレッシブロックバンド、キャメルの2nd。

1曲目「Freefall」はハードかつメロディアスなギターリフが心地良く、音楽的な快感に溢れた曲になっています。

フルートの音色を美しく聞かせるインストナンバー「Supertwister」のような楽曲から、テクニカルな演奏技術、めまぐるしく展開されていく不思議な世界が楽しむことができる楽曲が揃っています。

おすすめトラック:「Freefall」「Nimrodel / Procession / The White Rider」

7. Soft Machine「Third」


イングランド出身のプログレッシブロックバンド、ソフト・マシーンの3枚目。

ソフトマシーンは最もジャジーなバンドととして知られていて、今回のアルバムでは管楽器やパーカッションの音色が効果的に使われています。

1曲20分近くの曲が4曲で80分弱という長尺ですが、ミステリアスで中毒性が高く、カンタベリーロックの完成形の一つです。

8. Jethro Tull「Thick As A Brick」(邦題:ジェラルドの汚れなき世界)


Jethro Tull(ジェスロ・タル)がプログレの全盛期でもある1972年に発表した5作目のスタジオ・アルバム。

20分以上の大曲が2曲という構成のアルバムで、全米2週連続1位を獲得したヒット作です。

架空の8歳の少年が書いた抒情詩に曲をつけて完成させたという設定のコンセプトアルバムであり、歪んだエレキギターやオルガン、フルートの旋律、アコースティックギターの音色など、緻密に計算されたサウンドが展開する不思議な音楽世界に引き込まれます。

難解な印象はあまりなく、聴き終えたあとは現実とは離れた別の世界を体験をしたような気持ちになります。Pt.1でフォーク調の優しいサウンドからだんだん不穏になっていく展開は演劇を見ているかのようです。

9. Can「Future Days」(1973)


ジャーマンプログレはジャーマンプログレで紹介しようと思ったのですが、ドイツからも一つ好きなアルバムを紹介します。

Canの中心メンバーのホルガ―・シューカイやイルミン・シュミットは音楽学校で60年代の実験音楽の第一人者、シュトックハウゼンから現代音楽を学んでいたため、その独創性に満ち溢れた音楽はハイクオリティながら、評価されたのは80年代に入ってからでした。

「Future Days」はアフリカン・パーカッションを奏でるドラムと気怠いボーカルが特徴的で、3曲目「Moonshake」は民族音楽っぽさがありつつも、ポストパンクの先駆けのような曲になっています。

ちなみにジャーマン・プログレのおすすめ曲は以下の記事にまとめているので良かったらこちらも見てください。

ジャーマンプログレ(クラウトロック)のおすすめ名盤21選

10. UK「U.K.」(邦題:憂国の四士)


1977年、パンクロックの波にありプログレの勢いは完全に下火だった時期にリリースされたUKのデビュー作。

元キング・クリムゾンのメンバーであるジョン・ウェットンとビル・ブルーフォードが始めたスーパーグループとして注目されました。ソフト・マシーンやゴングなどにも参加経験のあるギタリスト、アラン・ホールズワースも参加しています。

7拍子を基調とする冒頭の「In the Dead of Night」は、超絶技巧とプログレ的なドラマチックな展開を楽しむことができる名曲です。

この凄腕メンバーで演奏されたのはこのアルバムだけということもあり、まずはこの作品を聴いてみて欲しいです。

おすすめトラック:「In the Dead of Night」「Thirsty Years」




11. Magma「M.D.K」(呪われし地球人たちへ)


フランスのプログレッシブロックバンド、Magma

このアルバムは彼らの3枚目のアルバムで、コバイア語という架空の言語を駆使して歌われています。

トゥーザムタークという長編物語の第3楽章になっていて、地響きのような低音ボーカルと無機質な反復らなるサウンドは呪術的でその怖さと美しさに圧倒されます。

プログレの中でも異彩を放っているバンドのひとつだと思いますが、正統派ではない音楽を求める方は是非一度聴いてみてください。

12. Caravan「In The Land Of Grey And Pink」(邦題:グレイとピンクの地)


71年に発表されたイングランド出身のバンド、Caravanのサードアルバム。

ソフト・マシーンと共にカンタベリーを代表するプログレッシブロックバンドの一つです。

プログレ的な組曲はもちろんありますが、かなりポップで、英国的な綺麗なメロディーが目立つような楽曲が多いのが特徴です。

超絶技巧のような演奏というよりも、とっつきやすいものが聴きたい方にはおすすめです。

13. Renaissance「ASHES ARE BURNING」(燃ゆる灰)


イギリスのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド、Renaissanceが1973年に発表したセカンドアルバム。

冒頭の名曲「Can You Understand?」は綺麗なピアノのイントロから始まる叙情的な1曲で、そこから英国らしいフォーク、トラッドのような展開がされていきます。

長尺の曲はありますが、いわゆるプログレの楽曲というよりかは優しい英国らしさが残されている印象が強く、ジェネシスが好きな方におすすめな1枚です。

おすすめトラック:「Can You Understand?」「Ashes Are Burning」

14. Gong 「YOU」


フランスのプログレッシブ/スペース・ロックバンド、「Gong」の5枚目のアルバム。

なんと言っても壮大な世界観と宇宙を感じることができるスペースロックとサイケデリックロックが上手くブレンドしたサウンドが心地良いです。

ちなみにこのアルバムはZero The Heroを主人公とした「Radio Gnome Invisible」三部作の最終章になっていて、前作で惑星Gongの旅から戻った主人公が目覚めるという場面から始まります。

15. Mike Oldfield「Tubular Bells」


マイク・オールドフィールドが1973年に発表したファーストソロアルバム。

2400回もの多重録音を繰り返してほぼ1人で制作をしたというこのアルバムは全英1位を記録し、映画「エクソシスト」でも使われています。

プログレの名盤としては教科書的な一枚になっていますが、マイク・オールドフィールドの天才さが遺憾無く発揮された渾身の一枚になっていると思います。