【必聴】80年代の洋楽名盤18選!音楽が多様化した時代のアルバムを紹介

80年代の洋楽はデジタルシンセサイザーの登場により、70年代の音楽以上に多様化しました。

ニューウェイブと呼ばれる新しい音楽ジャンルが登場したり、70年代のパンクロックが収束した後に暗く実験的であるポストパンクなどのジャンルも登場しました。

今回はそんな多様化した80年代の名盤を18選にまとめたので、聴いたことがないアルバムがあったら聴いてみるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。



1. Michael Jackson「Thriller」(1982)

音楽史上、最も売れたアルバムとも言われているマイケルジャクソンの言わずと知れた名盤「Thriller」

グラミー賞8部門を受賞し、1億枚以上のセールスを記録しました。

ジャンルはロック、ポップスの垣根を超え、当時白人の音楽しか流さなかったMTVの壁を打ち破ったということでも知られています。

そうした人種的な意味合いや「Thriller」のショートフィルム仕立てのMVに見られるような、視覚面での新たな可能性を提示したことも大きな理由ではあるのですが、純粋に聴きやすい良質なポップソングがあるというところでこのアルバムを推したいです。

2. New Order「Low-Life」(1985)


1985年発売のNew Orderの大傑作。

個人的に今回紹介するアルバムの中で1番聴いて欲しい作品でもあります。

キャッチーなのに哀愁が溢れる切ないテクノポップに、バーナード・サムナーの不安定な歌声が、完成された音楽にはない説得力で心に刺さります。

特に聴いて欲しい楽曲はベトナム戦争をモチーフにした1曲目の「Love Vigilantes」とフックとなるベースラインがメランコリックな名曲「Perfect Kiss」、そしてバッドエンドを思わせる悲しいイントロと陰鬱な歌詞が特徴的な「Sub-Culture」です。

3. The Smiths「Queen Is Dead」(1986)

1986年に発売されたThe Smithsの3rdアルバム。

80年代の音楽シーンではオルタナ的なポジションのスミスですが、未だに熱狂的なリスナーが多いバンドです。

労働者階級の楽曲や、社会に馴染めない若者の心の不安のようなものを歌った楽曲は今でも好きだと感じる人は多いと思います。

今回のアルバムは「Bigmouth Strikes Again」のようなギターロック色強い楽曲から、スローテンポでジョニーマーの切ないギターの音色が心を打つ「I Know It’s Over」までバラエティーに富んでいるように感じます。

代表曲の1つ「There Is A Light That Never Goes Again」は、「二階建てバスに衝突されても、君のそばで死ねるなら幸せ」というフレーズでも有名な名曲です。

4. Prince「Purple Rain」


プリンス・アンド・ザ・レボリューションの名盤「Purple Rain」

このアルバムはプリンス主演の同名映画のサウンドトラックとして制作されました。

レヴォリューションというバックバンドを得たことが大きいのか、どことなく開放的で他の作品よりも聴きやすい作品になっていると感じます。

大傑作バラードのタイトルトラック「Purple Rain」を筆頭に、独特の世界観に引き込まれるナンバーが揃っていて、是非一度聴いて欲しい1枚です。

5. Tears For Fears「Songs from the Big Chair」(1985)


イギリスの2人組バンド、Tears For Fearsの2ndアルバム。

全米1位の大ヒットを記録した「Everybody Wants To Rule The World」と「Shout」が収録されています。

エレポップでありながらも、メランコリックで繊細な響きが特徴的で、当時メインストリームだったエレポップの中では少し異質な存在です。

6. Toto「Toto Ⅳ」(1982)

1982年にリリースされたTOTOの4作目。

グラミー賞6部門を受賞した大ヒットアルバムです。

セールス的にも大成功と言えるこのアルバムの収録曲「Africa」や「Rosanna」は40代以上であれば、一度は聴いたことのある楽曲だと思います。

B面も入れると10曲全てシングルカットされているほど、全ての楽曲のクオリティーは高いですが、民族音楽的でありながらも美しいコーラスを楽しむことができる「Africa」は特に必聴です。

7. The Jesus and Mary Chain「Darklands」(1987)


The Jesus and Mary Chainの2ndアルバム。

メディアや音楽系の雑誌に取り上げられることが多いのはノイズ全開の1stの「Psychocandy」なのですが、聴きやすさと完成度の意味で2ndを紹介します。

1stで全開だったフィードバックノイズは鳴りを潜め、聴きやすく陰鬱なギターロックへと2ndで大きな変化を遂げたのがこの作品です。

全編を通して孤独感が充満していて、歌詞もずっと暗くて哀愁が溢れているのもこのアルバムの魅力になっています。

「As sure as life means nothing, and all things end in nothing, and heaven I think is too close to hell.」
(人生は無意味で全ては無に帰す、それくらい確かなこと 僕が思うに天国はあまりに地獄に近すぎる)

ー「Darklands」より

8. The Police「Synchronicity」(1983)


1983年に発売されたポリスの5作目のアルバム。

メンバー仲はこの頃がピークな程不仲だったと言われていますが、それでも今作はポリスの最高傑作としてロック史に刻まれている1枚です。

パンク〜ニューウェイブの流れの中で出てきたポリスですが、この作品は初期の作品と比べるとパンク色は少なく、知性とアーティスティックな奥行きに溢れた完成度の高い作品になっています。

シングルチャート8週連続1位を記録する大ヒットとなった、恐らく誰もが一度は聴いたことのある代表曲「Every Breath You Take(邦題:見つめていたい)」は、純粋なラブソングのように見えて、「嫉妬と監視、独占欲についての歌」だとスティング自身は語っていることでも知られています。

他にも「Synchronicity Ⅱ」や「Wrapped Around Your Finger」、「King of Pain」などヒットを記録した楽曲が収録されているので是非アルバムを通して聴いてもらえたらと思います。

9. XTC「Skylarking」(1987)


XTCの音楽はよくひねくれポップなんて言われます。

代表作「Black Sea」はやや難解な印象を受けますが、今作はポップ職人トッド・ラングレンをプロデューサーに迎えてるためグッと聴きやすくなっています。

ネオアコ色が強く、キラキラとしたサウンドが特徴的な1枚です。

自然音を駆使した演出で1本の映画のように風景が浮かびます。

音の繋ぎが見事なので是非アルバムを通して聴いて欲しいですが、個人的に好きな曲は「That’s Really Super, Supergirl
」です。

癖のあるメロディーなのに何故かキャッチーな印象を受けるキラキラとした爽快な楽曲です。歌詞も自分を振った女性のことを皮肉たっぷりに歌っているのが面白いです。

10. Galaxie 500「On Fire」(1989)


ラフトレードからリリースされたアメリカのインディーロックバンド、ギャラクシー500の名盤。

スロウコアの草分け的な存在として知られているバンドです。

演奏技術は稚拙で、脱力感をそのまま昇華したようなものになっていますが、夕暮れ時に微睡むような浮遊感あふれるサウンドが心地良いです。

音楽的に絢爛な80年代にあまりにも拙く、ダラダラと虚無感を歌い上げているところが却って好きなのかもしれません。

やり場のない感情を抱えた時に聴いて欲しい1枚です。

11. Guns N’ Roses「Appetite for Destruction」(1987)


いきなりテイストが変わってしまいますが、次に紹介するのはガンズのデビューアルバムです。

80年代のHR/HMはレッドツェッペリンを中心とした70年代のハードロックと比較すると超絶技巧のギタープレイと金切声を中心としたサウンドへと変化していきますが、そんな中でもロックのストレートなかっこよさを忘れずに持っていたのがこのバンドなのかなと思います。

筆者自身はハードロックはあまり聴かないのですが、それでも洋楽を聴き始めた中学生時代に自分でCDを買った1枚でもあります。

80年代を代表する名バラード「Sweet Child O’ Mine」のノスタルジックなイントロと、ハードロックバンドならではのギターソロのカッコ良さは今聴いてもどこか新しくかっこいいです。

12. U2「The Joshua Tree」(1987)


アイルランドのロックバンド、U2が発売した80年代を代表する不朽の名作、ヨシュア・ツリー。

反戦メッセージを明確に打ち出していたことでも知られているバンドです。

だからこそ、ミュージシャンが政治や宗教、戦争について触れるのはタブーだと考えている日本人に是非一度は出会って欲しいアルバムだと感じます。

問題提起と並行してサウンドでも試行錯誤を繰り返し、完成させた文句の付けようのない1枚だと言えます。

ちなみに2曲目の「I Still Haven’t Found What I’m Looking For(終わりなき旅)」はミスチルの「終わりなき旅」の元ネタとなった曲です。

13. Talking Heads 「Remain in Light」(1980)


アメリカのロックバンド、トーキング・ヘッズの名盤。

ブライアン・イーノとの最後のコラボレーション作品であり、アフリカン・ビートとロックが融合した不思議なサウンドを楽しむことができる1枚です。

陽気でヘンテコなポストパンクというのが最初に聴いた時の印象でしたが、ファンクを基調とした小気味の良いビートと呪術的とも思えるボーカルの融合は今までにない音楽体験をもたらしてくれます。

14. The Stone Roses 「The Stone Roses」(1989)


90年代UKロックの先駆けとも言えるマンチェスター出身のバンド、The Stone Roses。

不穏ながらも美しいオープニングトラック、「I Wanna Be Adored」で夢中になって好きになった1枚です。

UKロックならではの煌びやかで優しいメロディーと、アシッド・ハウスの影響を感じさせるリズム隊のグルーブが心地良い作品です。

「Watarfall」「She Bangs the Drums」は特に瑞々しくも切ない響きが心を打ちます。

15. Donald Fagen「The Nightfly」(1982)


1982年にスティーリー・ダンのメンバー、ドナルド・フェイゲンがリリースした初のソロアルバム。

発売から40年以上経っていますが、未だに古臭さを感じさせず、新しささえ感じるクールで上品な名盤です。

ポップ史においては、初めてフルデジタルレコーディングされた最初のアルバムの一つとしても名を残しています。

楽曲はとにかく緻密で洒落ていて、心地良さを感じられるので、夜のドライブや部屋でゆったりと過ごすのにぴったりです。

16. Cyndi Lauper「She’s So Unusual」(1983)


1983年に発売されたシンディー・ローパーの初のスタジオアルバム。

マドンナと同年にデビューしましたが、シンディーはマドンナは5歳年上で、何もかもが比べられた遅咲きのスーパースターとして知られることになりました。

派手な見た目はもちろん、ギターとキーボードで鮮やかに彩られたポップスは今でも心を身軽にしてくれるような不思議な力があります。

代表曲「Girls Just Want to Have Fun」や「Time After Time」が収録されている1枚でもあります。

17. Bruce Springsteen「Born in the U.S.A.」(1984)


70年代の「明日なき暴走」と並ぶブルース・スプリングスティーンの代表作「Born in the U.S.A.」

アルバム名と同名のヒット曲「Born in the U.S.A.」は、ベトナム戦争の帰還兵が母国に戻った後の心情や苦悩をテーマにしたものになっています。

ブルース自身のベトナム戦争の徴兵検査を受けて不合格になったという経験や、オランダ系、アイルランド系、イタリア系のアメリカ人を両親に持っているということが彼の母国アメリカへの見方に大きな影響を与えていると言われています。

そのため、一見アメリカ讃歌のように聞こえる曲ですが、内容はシリアスに戦争とアメリカを見つめた曲です。

60年代の昔のロックが好きな人に聞いて欲しい80年代の1枚です。

18. Orange Juice「You Can’t Hide Your Love Forever」(1982)


ネオアコの名盤としても知られているオレンジ・ジュースのデビューアルバム。

グラスゴーで1977年に結成されたバンド、Nu-Sonicsというパンク・バンドがその前身になりますが、バンド名を変えたタイミングでサウンドもネオアコ寄りのサウンドへと変化しました。

エドウィン・コリンズは「パンクのムーブメントは音楽的な発展がないまま、すぐにしぼんでしまった。だから、僕は、たとえ少し女々しいと思われたとしても、自分に正直で音楽的に発展があるレコードを作りたかったのさ」と「ギター・ポップ・ジャンボリー」で発言していて、ここにパンクバンドをやめてオレンジ・ジュースを結成した背景があります。

ジャケットのかわいらしさとは裏腹に、メロディーは一癖あり、好みは分かれる1枚だと思います。

瑞々しいサウンドの中に若者の苦悩や苛立ちを歌ったソングライティングは、新しいパンクの在り方のように感じられます。

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