サウンドトラックの名盤25選 音楽オタクが本気で選んだサントラの名盤を紹介
映画の良さを引き立てる上で欠かせない存在のサウンドトラック。
良い音楽が良いシーンでかかることによって、相乗効果的に映画の良さが際立ちます。
今回は、サウンドトラックの名盤をレコード屋店員として働いていた筆者が周りの音楽好きや映画オタクにも聞き、悩みに悩みながら選定しました。
是非映画を観る際の入り口や、知らない音楽との出会いに参考にしていただければと思います!
ロスト・イン・トランスレーション(2003)
東京を舞台にした淡い出会いと別れの映画
「ゴッド・ファーザー」などで知られるフランシス・フォード・コッポラ監督の娘、ソフィア・コッポラ監督の映画「ロスト・イン・トランスレーション」
東京を舞台に出会った男女のひとときの恋を描いた恋愛映画で、アカデミー賞の脚本賞も受賞しています。
サウンドトラックでは、My Bloody ValentineやThe Jesus and Mary Chainなどシューゲイザー好きにはたまらない音楽が異国の地での2人の出会いと別れの哀愁を際立てます。特にマイブラのKevin Shieldsがこの映画の為に提供した「City Girl」は必聴です。
劇中で使われているおすすめ曲:「City Girl / Kevin Shields」「Just Like Honey / The Jesus and Mary Chain」
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999)
キューバ音楽が彩る日常</strong
スライドギターの名手ライ・クーダーがキューバのミュージシャンを集めて制作してヒットしたアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を元に作られたドキュメンタリー映画。
監督は「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダースです。
ドキュメンタリー映画ですが、ミュージシャンのパーソナリティに焦点を当てた映画構成や、忙しない日常の中で忘れていた喜びのようなものが詰まっています。
君の名前で僕を呼んで(2017)
イタリアを舞台にしたひと夏の恋
ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーが主演を務め、1980年代を舞台のイタリアを舞台に恋に落ちた青年たちを美しく描いた映画。
キャッチコピーは「何ひとつ、忘れない」で、自分とは全く対照的な存在に惹かれていく2人を、現代最高峰の天才SSWと言われているSufjan Stevensの音楽が彩ります。
他にも坂本龍一の楽曲やThe Psychedelic Fursの楽曲も収録されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Mystery Of Love」「Visions Of Gideon」
(500)日のサマー(2009)
500日間すれ違い続ける男女の物語
マーク・ウェブ監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル出演の映画「500日のサマー」
エレベーターでThe Smithsの「There Is A Light That Never Goes Out」を聴いてると「私もスミスが好き」と話しかけられ、そこから自由奔放なサマーに恋に落ちていく冴えない青年トムの視点から物語が描かれます。
劇中で使われているおすすめ曲:「Hero / Regina Spektor」「She’s Got You High / Mumm-Ra」
ある少年の告白(2018)
同性愛の少年を矯正させる施設を描いた実話
「THE GIFT」などでも知られているジョエル・エドガートン監督の映画、「ある少年の告白」
原題は「Boy Erased」で、実際に存在した同性愛者を「矯正」させる施設の中で、無理やり豪速球が飛んでくるバッティングセンターに立たせるなど、「男らしさ」を教え込まれる少年の様子が描かれます。
同性愛を「治療する」という考え方はキリスト教の福音派の考え方に基づいていて、主人公はそのような宗教的な価値観と自分のアイデンティティーの中で揺れ動きます。
サウンドトラックには映画にも出演しているトロイ・シヴァンとシガー・ロスのヨンシーのコラボ曲「Revelation」も収録されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Revelation / Troye Sivan & Jonsi」
パリ、テキサス(1984)
ライ・クーダーが彩るロードムービー
前述のブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブでも紹介したヴィム・ヴェンダースの名作。
失踪した妻を探し求めてテキサス州にある町、パリへと向かう主人公、トラヴィスを描いています。
この映画の象徴的な楽曲「Paris, Texas」ほぼギター1本で構成された曲ですが、スライドギターの音色と音の隙間が心地良く、映画の余韻に浸ることができる名曲です。
劇中で使われているおすすめ曲:「Paris, Texas / Ry Cooder」
リリィ・シュシュのすべて(2001)
14歳の心の闇を美しい音楽と共に描いた名作
掲示板の書き込みを使った実験的なインターネット小説を原作に映画化された岩井俊二監督の映画、「リリィ・シュシュのすべて」
若い頃の市原隼人や蒼井優などが出演していて、田園のある美しい田舎を舞台に、いじめや援助交際などの問題を包含しながら思春期の中学生の心の闇を描いた映画です。
この映画のサウンドトラックは架空の歌手、リリィ・シュシュの楽曲として小林武史がプロデュースしSalyuが歌った曲が収録されています。アルバムとしても名盤と呼べるほど、かなり力を入れたクオリティーの高い楽曲が揃ってます。
劇中で使われているおすすめ曲:「飛べない翼 / Lily Chou-Chou」「グライド / Lily Chou-Chou」
小さな恋のメロディー(1971)
11歳の少年少女の純度100%のラブストーリー
本国イギリスではヒットしませんでしたが、日本では密かに人気のある映画のひとつ、「小さな恋のメロディー」
11歳のダニエルが同じ学年のメロディに恋をするというピュアなラブストーリーで、60年代〜70年代に活躍したロックバンドの楽曲が使われています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Melody Fair / Bee Gees」「Teach Your Children / Crosby, Stills, Nash & Young」
ウォールフラワー(2012)
さよなら、壁際の僕
小説家を志望する16歳の内気な青年の学生生活を描いた青春映画。
主人公のチャーリーはひっそりと友達も作れないまま学生生活を過ごそうとしていたが、明るいパトリック(エズラ・ミラー)と奔放なサム(エマ・ワトソン)という兄妹に出会ったことによって変わっていきます。
サントラにはGalaxie 500やNew Order、The Smithsなど80年代の音楽好きにはたまらない楽曲が使用されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Asleep / The Smiths」「Tugboat / Galaxie 500」
サスペリア(1977)
バレエの名門校に通う少女に襲いかかる恐怖
イタリアのホラー映画の代名詞的な映画、サスペリア
バレエ学校に入門したスージーは、次々に襲いかかる奇妙な体験の中で魔女がいることを知ってしまいます。
映画のサントラを手掛けているのは多くのイタリアの映画音楽を手掛けているプログレバンド、ゴブリンです。
プログレバンドとしてのゴブリンの実力が十分に発揮された、映画の恐怖体験を引き立てるような不気味で癖になる楽曲が収録されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Suspiria / Goblin」
トレインスポッティング(1996)
ヘロイン中毒の男たちの一世を風靡した青春映画
「スラムドッグ・ミリオネア」などでも知られるダニー・ボイル監督の青春映画、トレインスポッティング。
薬中毒の主人公(ユアン・マクレガー)とその仲間たちの退廃的な生活が描かれています。
Iggy Popの「Lust For Life」で始まるオープニングや、薬漬けになって倒れるシーンでかかるLou Reedの「Perfect Day」が特に良いです。
ジョゼと虎と魚たち(2003)
綺麗事だけではないリアルな恋愛映画
犬童一心が手掛け、妻夫木聡や池脇千鶴、上野樹里が出演する恋愛映画、「ジョゼと虎と魚たち」
ポスターの雰囲気から純粋ピュアなラブストーリーにも見えますが、実際には恋愛の綺麗な部分だけでなく、人間の自分勝手な部分の残酷さについても考えさせられる映画になっています。
幼いころから車椅子で自分の世界を持っているジョゼに、誰にでも優しい大学生、恒夫がどんどん惹かれていくところから始まります。
サントラはくるりが全編監修していて、くるりのノスタルジックかつ叙情的な楽曲が映画の良さを引き立てています。
劇中で使われているおすすめ曲:「ジョゼのテーマ / くるり」「ハイウェイ / くるり」
卒業(1967)
恋愛映画のキャパを超えた名作
アメリカンニューシネマの草分けと言われている言わずと知れた名作、「卒業」
結婚式で花嫁を奪うという今でこそ陳腐に思える描写はこの映画が始まりと言われています。
ラストシーンが有名なこの映画ですが、恋愛映画というだけでなく、エリートな上流階級の青年が持っていた今までの価値観の変化などに注目して見ると面白いです。
劇中で使われているおすすめ曲:「The Sound of Silence / Simon & Garfunkel」「Mrs. Robinson / Simon & Garfunkel」
アメリカン・ビューティー(1999)
家庭崩壊とアメリカ社会が抱えた闇
アカデミー賞で作品賞を受賞したサム・メンデス監督作品、「アメリカン・ビューティー」
娘の同級生に恋する中年の主人公をケヴィン・スペイシーが演じ、それぞれが抱える問題がどんどん大きくなって崩壊へと向かう家族を描くことを通して、アメリカの社会が抱えている問題について切り込んだ作品になっています。
サントラを手掛けているのは「ショーシャンクの空に」「グリーン・マイル」を手掛けている作曲家、トーマス・ニューマンで、癒されるようでいて不穏な楽曲が特徴的です。
他にもエリオット・スミスによるビートルズのカバー曲なども収録されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「Because / Elliott Smith」「The Seeker / The Who」「Any Other Name / Thomas Newman」
ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)
鬱映画の代名詞
人によっては「もう二度と見たくない」と言われるような鬱映画や胸糞映画と言われる映画を作り続けている映画監督、ラース・フォン・トリアーの代表作「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
この映画はミュージカル映画で、盲目の女性セルマをミュージシャンのビョークが演じ、音楽も担当しています。
レディオヘッドのトム・ヨークの参加曲もあり、この映画のサントラ「セルマソングス」は映画の暗く絶望的な雰囲気を引き立てた名盤になっています。
劇中で使われているおすすめ曲:「I’ve Seen It All / Björk」「107 Steps / Björk」
シェイプ・オブ・ウォーター(2017)
半魚人に恋に落ちた孤独な女性
掃除婦として働く口の効けない孤独な女性をサリー・ホーキンスが演じたギレルモ・デル・トロ監督のアカデミー賞作品賞受賞作品。
サウンドトラックは「ハリー・ポッターと死の秘宝パート1・2」や「グランド・ブダペスト・ホテル」なども手掛けた作曲家、アレクサンドル・デスプラが作曲しています。
水の中にいるような浮遊感と映画の切ないおとぎ話のようなストーリーを思い起こさせる曲になっています。
劇中で使われているおすすめ曲:「The Shape of Water / Alexandre Desplat」
ベイビー・ドライバー(2017)
音楽を聴くと覚醒する天才ドライバー
エドガー・ライト監督によるアメリカのアクション映画、ベイビー・ドライバー。
天才的なドライブテクニックを買われ、逃し屋として組織の中で働く主人公ベイビーは音楽を聴くことでドライブテクニックを発揮させることができます。
そのサントラとしてかかる曲はとても2010年代とは思えない選曲で、この選曲の良さも映画のヒットに繋がっている印象です。
劇中で使われているおすすめ曲:「Neat Neat Neat / The Damned」「Bellbottoms / THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION」
早春(1971)
既婚女性に恋した15歳青年の美しき暴走
イエジー・スコリモフスキ監督のイギリスと西ドイツの合作映画で、キャッチコピーは「死ぬほどの恋に落ちたんだ」
自由奔放な年上の既婚女性に惹かれ、ストーカーまがいの行動をしてしまう15歳の青年が描かれています。
サントラにはドイツのプログレッシブロックバンド、CANやイギリスのSSWキャット・スティーブンスの音楽が使われています。
劇中で使われているおすすめ曲:「But I Might Die Tonight / Cat Stevens」「Mother Sky / CAN」
たかが世界の終わり(2016)
世界が終わっても守りたかった愛とは
弱冠19歳でカンヌ国際映画祭を受賞したグザヴィエ・ドラン監督の映画「たかが世界の終わり」
ジャン=リュック・ラガルスの戯曲「まさに世界の終り」を原作として、ドランならではの家族愛の難しさや、衝突、そして愛情を描いた名作です。
自らの死を告げるために帰郷した主人公と家族の会話劇を中心に進んでいき、難解ですが、不器用な登場人物たちのぶつかり合いが心に残る映画です。
劇中で使われているおすすめ曲:「Home Is Where It Hurts / Camille」「Natural Blues / Moby」
レディ・バード(2017)
恥ずかしさと痛みが詰まった愛おしくリアルな青春
グレタ・ガーウィグ監督のアメリカ映画で、Rotten Tomatoesで批評家支持率100%を記録したことでも知られています。
田舎の高校にいる主人公クリスティンは自らを「レディ・バード」と名乗り、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見る17歳。
思わず自分の学生生活を思い出して目を背けたくなるような痛々しさと愛おしさが詰まった青春映画です。
劇中で使われているおすすめ曲:「Little of Your Love / HAIM」「Crash into Me / Dave Matthews Band」
はじまりのうた(2013)
音楽でもう一度立ち上がる人々の物語
マルーン5のアダム・レヴィーンが出演していて、第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞している映画でもあります。
映画の中でも象徴的に使われているアダム・レヴィーン(キーラ・ナイトレイ版もあります)の「Lost Stars」は、素朴で温かい一曲です。
劇中で使われているおすすめ曲:「Lost Stars / Adam Levine」「A Step You Can’t Take Back / Keira Knightley」
シング・ストリート(2016)
80年代のヒットナンバーが彩る音楽映画
先ほど紹介した「はじまりのうた」も手掛けているジョン・カーニーの音楽映画。
80年代のアイルランドを舞台に、当時のヒットナンバーと共にバンドを組んだ14歳の青年たちを描いています。
キュアーやデュラン・デュラン、ジャムなどの音楽はもちろん、オリジナル曲も80年代の音楽へのリスペクトが込められた良曲が収録されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「In Between Days / The Cure」「Brown Shoes / Sing Street」
青春の殺人者(1976)
理由なき殺人を犯した青年
太陽を盗んだ男でも知られている長谷川和彦のデビュー作「青春の殺人者」
実際の事件を基にした中上健次の短編小説「蛇淫」を映画化したもので、理由なく両親を殺害した1人の青年の物語が描かれます。
サントラを担当しているのはゴダイゴで、キャッチーなポップスから実験的なインスト曲まで幅広く収録されていて、ゴダイゴの音楽的な実力が発揮されています。
劇中で使われているおすすめ曲:「想い出を君に託そう / ゴダイゴ」
パーティーで女の子に話しかけるには(2017)
好きな女の子が異星人のように見えたあの頃
パンクが好きな内気な青年が、パーティーで出会ったエル・ファニング演じる美しい少女ザンに恋に落ちる映画「パーティーで女の子に話しかけるには」。
好きになった少女が遠い惑星の異星人で、2人に残された時間は48時間というSFのような斬新な設定も面白い映画です。
オープニングのダムドから、劇中に登場するパンクバンドThe Dyschordsの曲、そしてエンディングでかかる日米ハーフのSSW、MitskiとXiu Xiuのコラボ曲まで良曲揃いです。
劇中で使われているおすすめ曲:「New Rose / The Damned」「Between the Breaths / Xiu Xiu & Mitski」
ファントム・スレッド(2017)
お洒落映画に見せかけたサイコスリラー
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でも知られるポール・トーマス・アンダーソン監督による映画「ファントム・スレッド」
完璧な身体しか愛せない仕立て屋のポールと、平凡なウェイトレス アルマの狂気的とも言えるような愛を描いた映画です。
一見おしゃれで硬派な映画のように思えますが、そんな想像を裏切るような怒涛のストーリー展開が待ち受けています。
レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドの作るピアノ曲が映画の狂気的な美しさを引き立てています。
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