THE 1975のおすすめ曲10選 圧倒的カリスマが作り出す知的なポップソングを紹介
イギリスのマンチェスターを拠点に活動するバンド、THE 1975(ザ・ナインティーンセブンティーンファイブ)
2018年に発売された3rdアルバム、「A Brief Inquiry into Online Relationships」(邦題:ネット上の人間関係における簡単な調査)は現代の「OK Computer」だと高く評価されました。
また、サマーソニックでの事件的とも言える、熱量の籠もったライブパフォーマンスは日本で大きな話題となり、記憶に新しい方もいるかもしれません。
今回はそんなTHE 1975のおすすめ曲を10選紹介します!
The Sound
THE 1975の代表曲。
2ndアルバム「I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it」(邦題:君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから)に収録されています。
「I know the sound, of your heart(胸の鼓動の音で分かるんだ)」と繰り返しストレートに歌われるのが印象的です。
煌びやかな多幸感溢れるサウンドで、80年代のポップスを現行のサウンドとして昇華しきった名曲です。
I Like America & America Likes Me
この曲はサマーソニックでのパフォーマンスが話題を呼んだ曲です。
オートチューンを駆使した、ミドルテンポのとてもかっこいい曲になっています。
メッセージ性が強く、死生観のようなものが感じられる抽象度の高い歌詞になっていて、以下は特に好きなフレーズです。
Kids don’t want rifles,
(子供はライフルなんて欲しくない)
they want Supreme
(皆Supremeが欲しいんだ)
Oh, will this help me lay down?
(これで少しは眠れるようになるかな?)
We’re scared of dying, it’s fine
(皆死ぬのが怖い、それで良いんだ)
「これで少しは眠れるようになるかな?」というフレーズは何度もこの曲の中に登場するのですが、ブランドものを着飾って安心しようとしたり、自分の命を脅かすもの(この曲では銃として登場します)を排除すれば眠れるようになるだろうかと、自分の生き方に対する不安や迷いを吐露した曲になっています。
TOOTIMETOOTIMETOOTIME
3rdアルバムの代表曲、「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」
TOOTIMETOOTIMETOOTIMEというタイトルは「Two-time」(人を裏切る、浮気する)にかかっていて、電話をかけた回数やメッセージを送った回数などにかけられています。
But I only called her one time
(彼女に電話したのはたった1回だけだよ)
Maybe it was two times?
(もしかしたら2回だったかもしれない)
Don’t think it was three times
(3回もあったなんてことはないよ)
Didn’t mean to two-time ya, two-time ya
(君を裏切ったわけじゃない、騙したわけじゃないんだ)
サビの歌詞だけ見るとなんともしょうもないですが、この曲は「ネット上の人間関係における調査」に入っているから意味があって、そんな現代のSNS中心の恋人たちの日常を切り取った曲になっているから面白く感じます。
Give Yourself A Try
3rdアルバム冒頭のインスト曲「THE 1975」から繋がりアルバムの幕開けのような曲になっている曲です。
Joy Divisionが好きな人はすぐ気付くと思いますが、この曲の特徴的なギターリフは「Disorder」からとっています。
この曲に限らずですが、THE 1975はマンチェスターを拠点に活動していることもあり、80年代のポップスやポストロックに強く影響を受けている曲が多いです。
ただ、「Disorder」が人生に対する漠然とした不安や人間関係の不和のようなものを歌った曲になっているのに対し、「Give Yourself Try」はポジティブに「とりあえずやってみなよ」と諭すような曲になっています。
Sincerity Is Scary
タイトルは直訳すると「誠実さは恐ろしい」という意味で、恋人との関係についてバラード調で歌い上げた楽曲になっています。
Why can’t we be friends, when we are lovers?
(僕たちが恋人でいるとき、どうして友達ではいられないんだろう?)
‘Cause it always ends with us hating each other
(だって恋は、結局お互いを憎み合って終わってしまうじゃないか)
別れの寸前の恋人に対して思うことを歌っていて、タイトル通り本音と向き合おうとすればするほど崩壊へと向かってしまう関係についてやりきれない気持ちを抱えているように思います。
曲の雰囲気はスローテンポで明るいのですが、歌詞はそれに反して少しシリアスな内容です。
She’s American
アメリカ人の女の子に対する印象が歌われた曲で、シンセの煌びやかな音とギターのクリーンなサウンドが多幸感を演出しています。
「もし彼女が僕に『歯を矯正しなよ』って言ったら、彼女はいかにもアメリカ人だ」と、アメリカとイギリスの文化の違いやお互いに抱いている印象が垣間見えるのも面白いポイントになっています。
メロディーが爽やかで、2nd収録曲の中でも可愛らしい印象がある曲です。
Chocolate
チョコレートというタイトルがついていますが、内容は薬をやっている若者たちが警察から逃げている一コマを描いた曲になっています。
マシュー・ヒーリーはこの曲についてこの曲は、「退屈な毎日へのラブレター」なのだと語っていて、非日常のギャング映画を観た時のような気持ちになれます。
It’s Not Living(If It’s Not With You)
3rd収録曲の中でも頭ひとつ抜けてキャッチーな曲です。
THE 1975はマシュー・ヒーリーが薬物依存だった過去を持つことからも、ドラッグについて歌った曲が多いのですがこの曲もその一つで、「静脈を破壊してくれ」とか、「汗が止まらなくて足元がおぼつかない」などのフレーズが入っているのが印象的です。
And all I do is sit and think about you
(俺はただ座り込んで君のことを考えている)
If I knew what you’d do
(君が何をするのか分かってたら良かったのにって)
Collapse my veins wearing beautiful shoes
(美しい靴を履いた俺の静脈を破壊してくれ)
It’s not living if it’s not with you
(君がいなければ、生きていないも同然なんだ)
「君」とはドラッグのこととも、恋人のことともどちらともとることができます。
Me & You Together Song
2020年発売の4thアルバム「Notes on a Conditional Form」(邦題:仮定法に関する注釈)に収録された曲。
このアルバムは「People」や「Frail States of Mind」などとにかくジャンルレスに様々なタイプの曲が収録されていますが、「Me & You Together Song」は原点回帰に近く、ストレートなギターポップになっています。
I’ve been in love with her for ages and I can’t seem to get it right
I fell in love with her in stages, my whole life
People
THE 1975の中ではかなり異質で、マリリン・マンソンを思わせるようなインダストリアルロック。
気候変動問題について語るGreta Thunbergの演説を乗せて制作された「The 1975」の後に続く曲ということもあり、そこには環境問題に対する問いかけや若い世代へのメッセージが強く反映された曲になっています。
People like people
(人々は皆人類を愛している)
They want alive people
(人々は皆人類が生き抜くことを望んでいる)
The young surprise people
(そんなことを願う若い世代が人々を驚かす)
Stop fucking with the kids
(そんな子供たちを馬鹿にするのはやめろ)
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