アンダーテールで生まれて初めてこんな気持ちになった。人生で最も泣いたゲーム体験

もはや説明不要の名作ゲーム、アンダーテール。

「誰も死ななくていいやさしいRPG」というキャッチコピーの今作は、クラウドファンディングで資金調達が行われ2015年に発売された。

筆者はゼルダの伝説シリーズやFF(ファイナルファンタジー)などの王道RPGが大好きだったが、そういったゲームとはまた違う、今までゲームでは感じたことない感情を知ったゲーム体験になった。

誇張なしで、人生で一番感動し罪悪感を感じたゲーム体験だったと言える。

今回はストーリーのネタバレを含みながら特に感動したポイント、心を打たれたポイントを思う存分語っていこうと思う。

もし、これからアンダーテールをやってみたいと考えている方は、ブラウザバックし、前情報を何も入れない状態でプレイすることをおすすめする。アンダーテールは他人事ではなく、自分自身がプレーヤーとして参加することで意味があるからだ。

目次

アンダーテールに存在するマルチエンディング

まず、大前提アンダーテールにはNルート、Pルート、Gルートの3つが存在し、プレーヤーの選択で結末が変わる。

・Nルート…モンスターを1体以上倒すことで達成。ただモンスターを全て倒すと後述のGルートに入ってしまう。どのモンスターを倒したかでエンディングが変わる
・Pルート…モンスターを1匹も倒さないことで達成
・Gルート…モンスターを全て倒すことで達成

1週目は基本的にNルートにいくことが多い。私も例によってNルートに到達した。

ちなみにゲームのあらすじはこんな感じだ。

<アンダーテールの簡単なあらすじ>
昔、人間とモンスターは争い、モンスターはその戦いに敗れた。人間は生き残ったモンスター達を魔法によるバリアで地底の世界に閉じ込めてしまう。月日は流れ、ある日、一人の人間の子どもがその地底へと落ちてしまう。

ここから私は4周してNルート→Pルート→Gルート→Pルートと辿った。

【号泣不可避】米津玄師に曲を書かせた男、アズリエルとのボス戦

まずはPルート。

モンスターと可能な限り戦闘を避け、たどり着くことができる唯一のハッピーエンディング。

コマンドの中でも「たたかう」を避け、モンスターと話をしたり、褒めたりすることで争いを避けるというシステムが他のRPGとは違い面白かった。

このルートの最終ボスは王様・アズゴアの息子、アズリエルなのだけれど、彼は「唯一の理解者であるニンゲン(最初に地底に落ちたニンゲン)と一緒にいたい」がために戦闘を続けているというのがなんとも切ないところ。

最初は容赦なく攻撃してくるアズリエルだが、徐々に「僕が戦うのはきみと一緒にいたいからだ」「きみのことが誰よりも大切だからなんだ」と、子供のような顔で訴えかける。

そして攻撃も弱々しくなり、涙のように見える演出。いや、すごすぎる。

しかも主人公に攻撃が当たらないよう、避けるように落ちてくる。普通に泣きました。

そして、モンスターのタマシイを取り込んだアズリエルに呼びかけて、モンスターを復活させるシーンも本当に涙が止まらず。

モンスターは「まよえるタマシイ」となり、ニンゲンのことも忘れている状態になっているが、そんなモンスターたちに、思い出の言葉や行動をすることによって記憶を蘇らせる。

例えばいつも笑っていたアンダインに対しての演出はこれ。

アンダインは、モンスターの平和を守るためにニンゲンを倒すことを使命としていたロイヤル・ガードの隊長であり、仲良くなる前は仏頂面で淡々と攻撃を仕掛けてくるイメージが強い。

そんなアンダインにも関わらず、主人公(フリスク)が仲良くなって「キミのマネだよ」と言ってする仕草が「にっこりほほえむ」なのが本当に目頭が熱くなった。

アンダインはNルートではあまり見えないが、Pルートに入り仲良くなると一緒に料理を振る舞ってくれたり(結果、家が全焼するのだが)、満面の笑顔で笑ったりと、表情豊かな一面を見せてくれる。

フリスクが争いを避けてモンスターと向き合い、アンダインのニコニコした表情を知っているからこそ生まれたシーンであり、本当に泣けた。

自分が悪役であることを認識させられるGルート

Pルートのエンディングは本当に理想的であり、感動に包まれたハッピーエンドだった。

でも、アンダーテールがこんなにも忘れられないゲーム体験になったのは、間違いなくGルートという対極のエンディングの存在があるからだと思う。

アイテムショップに誰もいない

モンスター達全員を倒すGルートでまず心に来たのが店に入った時のこの演出。

モンスターを皆殺しにしているニンゲンが現れたという噂は広がり、Pルートでは当たり前のように接客し、世間話をしてくれたモンスターがいなくなっている。

そして残されている書き置き「かぞくにらんぼうしないで」

他にも、店員がいないことをいいことに「ぬすむ」「うばう」などの選択肢が代わりに出現。主人公はタダでアイテムをとり、レジの中からお金を盗んで店を出ていく(選択しているのはプレイヤーだが)

また、エリアごとに倒すべきモンスターの数が決まっているが、何体か残っている状態でスノーフルのまちのモンスターに話しかけると「あの犬たちを今日は一回も見てないな」など、倒したキャラクターが死んでしまってることを痛感させられる演出がある。ただモンスターを「倒す」のではなく「殺す」であることを突きつけられる。

パピルスとの戦闘

そして、自分が悪役であることを突きつけられる演出の最骨頂が、パピルス、アンダインとの戦闘だ。

パピルスは主人公のことを優しい人間だと信じており、戦闘の時にも「パピルスはにがしてくれるようだ」と出る。

そんな殺意のないパピルスに「たたかう」を選択すると、えげつないダメージが入りワンパンで倒せてしまう。

アンダーテールの世界では殺意がない状態のモンスターは大きなダメージを食らい、殺意が強い者が与えるダメージ量は大きくなる(ケツイの力)。

Gルートを好奇心で選択しておきながら、この演出には「パピルスごめんよ・・」とびっくりしてしまう人が多いだろう。

そして、頭が取れて落ちた状態でも、「キサマはきっとりっぱなひとになれる」「じぶんではそうおもっていなくても、オレさまがほしょうするよ…」と言い残して死んでいくパピルス。優しい、お前はあまりにも優しすぎるよ。

パピルスは誰よりも優しいのに、「ニンゲンを捕まえて強いロイヤルガードになるんだ」と自分を強い男だと思っているところがまた、その悲しさを助長させる。自分の優しさに対して全く無自覚で、誰よりもピュアな存在を手にかけてしまった息苦しさを痛感する。

本物のヒーローとの戦い

主人公がモンスターの子を攻撃しようとすると、アンダインが庇って大怪我を負う。

「今度から逃げろと言われたら逃げるんだぞ」と、子どもに言い、アンダインはケツイの力で不死身のアンダインへと変貌し主人公に立ち向かう(Undyne(アンダイン)Undying(不死身)がかかっている言葉遊びも最高)。

ここで多分誰もが思う「え・・主人公どっち・・?」と。

Gルートは心が痛むルートだが、サイコパス殺人鬼である主人公に立ち向かうモンスターたちがあまりにもかっこいいのだ。

アンダインは自分の命が尽きる最期の瞬間も希望を捨てず、この満面の笑顔。

戦闘が難しいから、戦闘中は夢中になって倒そうとしてしまうが、倒してしまった後は一気に罪悪感が襲ってくる仕様。

しかもこの設定のえげつないところは「アルフィーが見守っている」というところ。

アルフィーとアンダインは相思相愛で、Pルートだと2人で幸せになるシーンも見れる分、大好きなアンダインが死んでしまうシーンをリアルタイムで見ているというなかなかの設定。

アルフィーはGルートではほとんど出てこないが、モンスターたちを安全なところへ避難させる役割を担っている。

気弱なアルフィーが、アンダインの死で悲しむ間もなく、他のモンスターを避難させるために奮闘している裏の物語があると思うとそこも泣ける。

Gルートのサンズ、あまりにもカッコよすぎる

Gルートのラスボスであり、全ルートの中でも最高難易度を誇るサンズ戦。

普段は無気力で「何をやってもやる気が出ない」「俺はとっくに諦めた」とよく言っている男が、他のモンスターのために本気になるところが見れる。

サンズは「プレーヤー」の存在に気づいているキャラクターであり、「セーブ&ロード」の力によってリセットされ、いつかは負けることを知っている。だからいつもやる気がない。

それでも「どうなるかを知っている以上 もう黙って見てるわけにはいかないんだ」と言い、最強の攻撃を仕掛けてくるところが鳥肌級にかっこいい。

サンズ戦に勝つと、サンズは最後に「グリルビースにでもいくかな」「パピルス おまえも はらへってるか?」と言い残して死んでしまう。

アンダイン以上に戦闘が難しく、戦闘を攻略することに夢中になってしまうけど、ここで一気にサンズもパピルスも手にかけてしまったことを痛感し「なんてことをしてしまったんだ・・」という気持ちになる。

【Gルート→Pルート】一度壊した幸せは二度と手に入らない

Gルートですっかり気が滅入ってしまった私は、もう一回Pルートをやろうと思いエンディングを迎えたが、そこには恐怖の結末が待っていた(やや閲覧注意)

Gルートで壊した世界を復元するためにタマシイを差し出した主人公。その後にPルートをクリアすると、人格をキャラ(はじめに落ちたニンゲン)に乗っ取られてしまっているため、地上でモンスターたちを虐殺してしまったことがエンドロールで示唆される。

偽善ルートとも呼ばれており、一度好奇心で全てを破壊した人間には真のハッピーエンドは二度と訪れないということが示されているように思った。

プレイ後に調べてみたら、Gルートを一度クリアしてしまうと二度と真のPルートエンディングは見れないらしかった(タマシイを差し出しているため)

この示唆的なエンディングや仕様、全てが作り込まれていて本当に恐怖と感動を覚えた。

好奇心のrもたらす残酷さを感じるゲーム。プレイヤー自身がこんなに主体的に参加させられるゲームは初めてだった。

個人的にはかっこいいモンスターの姿を見れたことや、アンダーテールというゲームについてより知ることができたからGルートをプレイしてよかったと思うが、Pルートの平和なエンディングのままそっとしておいてあげた方が良かったのかもしれない、という思いも消えない。

そんなゲームに対して後悔の感情を持ったことも含めて、人生で最も感情を突き動かされたゲーム体験だった。最高のゲーム。ありがとうToby Fox。

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