大人になってから星の王子さまを読むと泣いてしまう。

誰もが一度は聞いたことがあるであろう本「星の王子さま」。

「星の王子さま」は子供だけではなく大人にも、いやむしろ大人にこそ刺さってしまう本です。

この本のメッセージはとにかくシンプルです。「一番大切なことは目に見えない」

これは目に見える結果や数値、お金を求め続けていた社会人の心が忘れかけていた、あまりにも優しいメッセージでした。

目次

一番大切なことは目に見えない

「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」忘れないでいるために、王子さまはくり返した。

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」

「ぼくが、バラのために費やした時間……」忘れないでいるために、王子さまはくり返した。

「人間たちは、こういう真理を忘れてしまった」キツネは言った。「でも、きみは忘れちゃいけない。きみは、なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。きみは、きみのバラに責任がある…….」

「ぼくは、ぼくのバラに、責任がある」忘れないでいるために、王子さまはくり返した。

新潮文庫「星の王子さま」河野万里子 訳)

これはキツネが別れ際、王子さまに「秘密」を教える場面です。

バラの花は王子さまの恋人のような存在として登場しています。

王子さまは庭園でバラがたくさん咲いてるのを見つけ、「自分のバラは特別なたった一輪の花」だと思っていたのに、そっくりなバラがたくさん存在していたことに戸惑います。

しかし、キツネと会話するうちに、自分が水をやり、毛虫を取り除いて守ってあげたのはあのバラであり、そうやって過ごした時間こそがそのバラを特別な存在にしていたことを理解します。

見た目がどんなにそっくりでも、その過ごした時間がなければ、他のバラと同じではないのです。

また、バラは少しプライドが高く、星を出ていくと決めた王子さまに対して「さあ、いつまでもぐずぐずしないで。いらいらするから。行くって決めたのなら、もう行って。」と言います。

でも、本当は泣くのを見られたくなく、強がってそう言うのですが、王子さまはそれに気が付きません。

このような言葉として相手が伝えてない部分も想像してあげること。「たいせつなことは目に見えない」というメッセージにはこういう優しさを持つことの大事さも含まれていると感じます。

ただの水が特別なものになった理由

砂漠で王子さまと出会った「僕」が一緒に井戸を探す場面では、王子さまは「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつ隠してるからだね」と言います。

つまり2人で井戸を探した時間こそがかけがえのないものであり、井戸がどこかにあると信じている限りそういう思い出を作ることができるから砂漠は美しいと言っているのです。

そして、疲れて眠ってしまった王子さまを抱き抱えて、「僕」は井戸を探し見つけることができますが、その水を飲ませると王子さまは「この水が飲みたかったんだ」と言います。

「僕」が王子さまのことを想って、井戸を見つけようと探し回った優しさがあるということが大切であり、そうやって費やした時間がただの水を特別なものにさせたということを伝えています。

人間たちが忘れたこと

「人間たちって」小さな王子さまが言った。

「特急列車に乗っているのに、なにを探しているのかもうわからないんだね。だからせかせか動いたり、同じところをぐるぐるまわったり……」

そしてつぶやいた。「そんなこと、しなくていいのにね……」

コスパ・タイパと言いつつ、その空いた時間やお金で何をすべきか分からずSNSを結局ダラダラ見てしまうZ世代会社員には刺さりすぎた王子さまの純粋すぎる一言です。

時間に追われ、目標数値に追われ、必死になって生活を守りながら「あれ、何のために生きてたんだっけ?」となってしまう日々。

最近流行った「DIE WITH ZERO」という本にもあったように、人生とは思い出を作るためにあると思います。死ぬ前、ベッドで思い出すのは誰かとの思い出であり、その思い出をいかにたくさん増やせるかだと思っています。

でも、一生楽しい思い出を作って生きていくわけにはいきません。お金がなく、生活ができないからです。

だからこそ生きるために働き始めたはずが、その仕事に追われ疲弊して、結局楽しい思い出を作る時間も自分の好きなものと向き合う気力も残っていない。

そんな毎日を送る1サラリーマンにとって、あまりにも童心を蘇らせてくれる言葉だと感じます。

会社員が星の王子さまを読んで

せかせかとした社会人生活の対義語のような純粋で童心に溢れた世界観は、会社員の疲れた心に優しく沁みます。

本来人生は自由であり、大切な誰かと(1人でも)たくさんの思い出を作るためにある、というあまりにも当たり前で忘れかけていたことを思い出します。

私自身は別の記事でもあげているのですが、サイドFIREを目指していて、お金を貯めて投資することに精を出しています。

それに全力になるあまり、たまにお金を貯めることが目的化してしまうのですが、元々は自分の好きなものを追いかけたり、大切な人との思い出作りに全力でお金を使えるようになるためだった、ということを思い出します。

毎日の生活は容赦がなく、「誰かとの思い出を作ることが一番大切」なんてことは忘れてしまっても仕方がないと思います。

家を出るのが数分遅れ、1本電車を逃せば遅刻扱いで怒られるでしょうし、上司に任された仕事の提出が1日でも遅れたら嫌味を言われたり評価を下げられたりするかもしれません。

時間を常に分単位で意識しなければいけない生活を続けていたら、目の前のことに必死で、「思い出が大切」なんていう綺麗事にも思えることは忘れる方が自然だからです。

だからこそ、このまま人生を終えるのではなく、せめて人生の中盤〜後半くらいは、そういった息苦しさから脱したいと改めて思いました。

星の王子さまは社会人にこそ読んでほしい、社会人の生活が無くしがちな心を思い出させてくれると改めて感じました。何のために生きてるのか、見失ったらぜひ手に取ってみてほしいです。

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