映画「グッドナイト・マミー」ネタバレ感想ー悲しすぎる結末の傑作ホラー

監督:ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ

出演:ルーカス・シュワルツ、エリアス・シュワルツ、スザンネ・ベスト、ハンス・エッシャー

2014年に公開されたオーストリアのホラー映画「グッドナイト・マミー」

内容は整形手術から帰ってきた顔面包帯ぐるぐるの「ママ」の態度がどこかおかしく、「もしかして別人なんじゃ…?」と双子の子供たちが疑いにかかるという話です。

虫とグロが苦手な方はここで読むのをやめるのをお勧めします。

あらすじ(ネタバレあり)

自然に囲まれた森の近くの一軒家に住む双子の男の子ルーカスとエリアスはいつも一緒に遊んでいた。

ある日、母が整形手術を受けて顔に包帯ぐるぐる巻きで帰ってきたが、その母はまるで別人のように冷たく変わってしまっていた。

ルーカスとエリアスは母が本当に自分たちが知っている「ママ」なのか疑い始める。母がゲームを途中で無理やりやめさせたり、食事も飲み物もエリアスにだけあげて、ルーカスにあげなかったりし始めたからだ。

ルーカスとエリアスは母が本当のママじゃないと疑い、それを予知するような怖い夢を見たのもあって、寝ている間にお母さんの顔の上にGを忍ばせる。(二人は部屋で大量のGをケースに入れていた)そしてGはそのまま口の中へ入ってしまう。

ある日、ルーカスとエリアスはアルバムを見ていると、母とよく似た女性がサングラスをつけお揃いの格好をして写っているのを見つけ、疑惑は確信に変わっていく。

ある日森からこっそり運んできた猫が地下室で死んでいるのを見つける。「きっとママがやったんだ」とエリアスは呟く。

母は包帯を取っても以前と同じ顔だったが、それでも兄弟たちの不信感は拭えず、二人はついに母が寝ている間に手足を包帯でぐるぐる巻きにして身動きのとれない状況にする。「僕らのママを返して」と兄弟は繰り返す。

二人は昔の「ママ」の動画と比べて瞳の色などをじっくり調べる。

そしてホクロが付けボクロになっていることを発見した兄弟の行動はエスカレート。母は手術の時に病院で除去したと言うが、その言葉も信じず、母の頬を虫眼鏡で焼いたり、口を接着剤で塞いだりと拷問を始める。

そして家に火をつけて弱りきった母もろとも焼こうとするエリアス。最後に母は言う。「わかったわまたフリをする。ルーカスとも話す。ルーカスは生き返る。食事も二人分作る。だから私をママだと認めて。約束する。エリアス。ルーカスが死んだのは事故よ。あなたのせいじゃない」

そして火をつけた「二人」は精神世界の中で本物の「ママ」と再会し、3人で一緒に思い出の歌を歌うのだった。



感想

なんといってもこの話の肝は

ママが偽物だったのではなく、双子の片方ルーカスが実は死んでいて、エリアスはその幻覚を見続けていたということ

オープニングのシーンであったようにルーカスは湖で遊んでいる時に溺れて死んでいた

しかしそれがあまりにもショックで、一緒に遊んでいたエリアスは自分のせいだと責めるうちにルーカスの幻を見ることによって自分を守っていたのだと思う。

母親だって自分の子供を亡くして相当のショックを抱えていたはずなのに、それに加えて生きている子供まで頭がおかしくなり、自分が本当のママじゃないと疑われていくんだから、この母親の気持ちに感情移入しすぎると観ていられなくなる映画だった…。

この母親が最初冷たかったのは、いつまでもルーカスがいるように振る舞うエリアスにイライラしてしまったからだった。それを「母親と誰かが整形手術を利用して入れ替わった」とミスリードしてからだんだん「おかしくなっていたのは子供の方なんじゃ…?」と明かすこの構造の変化が怖い。

ミスリード部分まとめ

・狂った母親の姿(実際はエリアスが見ていた夢)

・母親そっくりの女性の写真(実際は友人とふざけて同じ格好で撮影していただけだった)

・結婚式などの写真がアルバムから消えて無くなっている
(離婚したから捨てただけなのを母の証拠隠滅だと錯覚させられる)

・猫が死んでいる
(猫が逃げ出して死んでしまっただけなのを母親がやったかのように見せかけている)

・ルーカスの言葉をエリアスが繰り返すことによって、母親がルーカスの声が聞こえてないことを分かりづらくしている




伏線まとめ

・食事がエリアスの分しか出てこない。
(ルーカスにどうしてあげないの?と言われると「当たり前でしょ」とお母さんが答える)

・おでこに紙を貼って、貼られた人が質問し何が書かれているか当てるゲームで、お母さんはルーカスの出したヒントだけ聞こえていない。子供が二人いるとエリアスが言うところで場面が意味深に切り替わる。

・お母さんとルーカスの直接の会話シーンがない。ルーカスに話しかけない

・エリアスが目覚めるとルーカスも起きる

・母親が電話で誰かに「これ以上フリを続けられない。現実と向き合うべきだわ」と相談している。

・「もうママはフリをしないからね。食事も服も一人分だけ。ルーカスに話しかけないと約束して」とエリアスに言う。

・エリアスとルーカスが同じ鼻から鼻血を出している。

・ルーカスがいるはずのベッドを無造作にお母さんがめくる。

そしてエリアスの精神がもう崩壊していることもいろんなシーンからわかる。

・危ない夢を見る
(森の中で狂っている母親の姿や、母親のはらわたからGが大量に出てくるなど)

・Gを大量に飼育してる

・虫眼鏡で虫を燃やしている

・全然笑わない

まとめ

ホラー映画として観たけど怖いというよりも断然悲しい映画だった。

自分が本物の母親であることを信用してもらえず、実の息子に本当のママはどこ?と拷問されるシーンは辛いとか怖いというより悲しすぎた。

気分が絶対に落ちるとわかってても時々観たくなってしまう映画ってたまにあるけど、個人的にこの映画はその一つに含まれるような気がする。音楽とかも少ないけど、食い入るように観てしまった。不気味だけどどこか魅力的で圧倒的に切ない。虫とホラー、あとは鬱系に耐性がある人には是非観て観て欲しい。

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