海外文学のおすすめ名作19選!死ぬまでに読みたい海外文学の傑作を紹介
少し敷居が高く、難しい印象のある海外文学ですが、日本の文学とはまた違った良さを持っている名作がたくさんあります。
今回この記事では、人生観を変えるような本当に面白い海外文学の名作を19冊紹介します。
読みやすいものから、深く考えさせられるものまで紹介しているので、新しい本との出会いのきっかけにしていただければと思います!
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
それにしても幸福っていったい、どこにあるのでしょう? 自分のことを幸せだと、だれが言えるでしょう?
ロシアの小説家、ドストエフスキーの“人類文学の最高傑作”と言われることも多い名作「カラマーゾフの兄弟」
物語は金と女に目がない父・フョードルと3人の息子たちを中心に複雑な人間模様を描きながら展開していきます。
父・フョードルと同じ女性を好きになってしまった長男のドミートリィは、父の殺害を計画しますが召使いのグリゴーリイに止められます。
しかし翌日、フョードルが死んでいるのが発見され、ドミートリィは疑われてしまいます。
犯人は誰なのか、それぞれの登場人物が抱えている問題は一体何なのかを考えながら読むと人間味があり面白いです。
ゲーテ「若きウェルテルの悩み」
ぼくだけがロッテをこんなにも切実に心から愛していて、ロッテ以外のものを何も識らず、理解せず、所有もしていないのに、どうしてぼく以外の人間がロッテを愛しうるか、愛する権利があるか、ぼくには時々これがのみこめなくなる。
1774年に刊行されたゲーテの代表作「若きウェルテルの悩み」
婚約者のいる女性、ロッテを本気で好きになってしまったウェルテルの絶望的な人生が描かれます。
この小説の特に面白いと感じた点は2つあって、1つは文通相手ウィルヘルムへの手紙を通して、ウェルテルのロッテへの恋心が赤裸々に語られるという点。
もう一つはロッテの婚約者、アルベルトがウェルテルと真逆の体育会系の男であり、ロッテがそういう男を選んだことによってますますウェルテルは自己否定に走ってしまう点です。
救いがなく重たい話ですが、文章自体は読みやすく理解しやすいので初めての海外文学にはおすすめできる一作です。
ちなみに、有名人や人気の高い人が自殺すると連鎖的に自殺が増えてしまう「ウェルテル効果」はこの小説が流行し、ヨーロッパで若者の自殺が相次いだことから名付けられました。
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カフカ「変身」
ある朝、不安な夢から目を覚ますと、グレゴール・ザムザは、自分がベッドのなかで馬鹿でかい虫になっているのに気がついた。
「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」というネガティブ発言でも知られる小説家、カフカの代表作「変身」
セールスマンのグレゴールが「朝、起きたら虫になっていた」というところから始まります。
グレゴールという人間はずっと必死に働き、家族の生計を支えていた男でした。
そんな人間が虫になる(人間であることを放棄する)と周囲の人間はどう振る舞うのか。自分が知らぬ間に背負わされている責任とは何なのか。そんなことを考えさせられる名作です。
スタンダール「赤と黒」
心の清らかさと、あらゆる憎しみの情を避けることが、おそらく青春を永続きさせるのだ。
19世紀中期フランスの作家、スタンダールの代表作「赤と黒」
ナポレオンに憧れている主人公、ジュリヤン・ソレルが製材所の息子から這い上がろうとしながら、町長の妻レーナル夫人と名門の令嬢マチルドとの恋をしていく様子が描かれています。
タイトルにもなっている「赤」は、ジュリヤンが憧れを抱いていた軍人、『黒』は、彼が出世の為になろうとした聖職者を表していると言われています。
ジュリヤンは美貌と頭脳を持っていましたが、育ちや体の弱さにコンプレックスがありました。そんな彼の上流階級や強い軍人へのコンプレックスが描かれているところも人間味があります。
ヘッセ「車輪の下」
疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪のしたじきになるからね。
ドイツの作家、ヘルマン・ヘッセの中で最も有名な小説「車輪の下」
ヘッセの半自伝的小説でもあり、繊細で傷付きやすい少年ハンスが学校生活の中で挫折を味わう話になっています。
この小説の魅力は村一番の秀才だったハンスが、問題児でもある同級生のハイルナーと仲良くなり、親や先生を恐れていた自分の生き方に疑問を抱くようになる過程にあります。
ハイルナーは成績はいまいちでしたが、文学や詩に深く興味を持っていて、周囲の期待の為に勉強を頑張っていハンスにとっては自分の世界をしっかり持っている友人に見えたのです。
「車輪の下」はそんな思春期の少年の繊細な心の変化が綺麗な文章で書かれている名作です。
サン=テグジュペリ「星の王子さま」
「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」
フランスの作家、サン=テグジュペリの代表作「星の王子さま」
「星の王子さま」は読んだことのある方も多いかもしれませんが、学校の授業の題材で取り上げられることが多いので、大人になってから読んでないという方に是非読んでいただきたい名作です。
この物語では「大切なことは目に見えない」という部分が繰り返されます。
誰かと出会って、見ず知らずの他人だっったはずの誰かがだんだんとかけがえのない人へと変わっていくことの素晴らしさや、時間やお金に追われて大人たちが失ってしまったことを思い起こさせてくれます。
カポーティ「草の竪琴」
「ティファニーで朝食を」「冷血」で知られるカポーティーの長編二作目「草の竪琴」
母を失い、その後父も自殺で失い、16歳で孤児となってしまった主人公のコリンは、遠縁にあたるドリー・タルボーとヴェリーナ・タルボー姉妹のもとに預けられます。
ドリーは60歳を既に超えているのですが、それでもコリンはドリーに恋をしてしまうのでした。
森の中での不思議な生活、社会からあぶれた人たちが作るコミュニティーの空気感などが繊細な描写で描かれています。
サリンジャー「ナイン・ストーリーズ」
「ライ麦畑でつかまえて」で知られるサリンジャーの短編集「ナイン・ストーリーズ」
タイトルの通り9つの短編が入っています。
特に有名なのはシーモア・グラスという男が拳銃自殺するまでの1日を描いた「バナナフィッシュにうってつけの日」です。
彼はなぜ自殺したのか、バナナフィッシュとは何なのか。難解で抽象度が高い物語ですが、熱狂的な読者がいるのも頷ける傑作です。
何が彼の引き金を引いてしまったのか、何が人の人生の引き金を引くきっかけになってしまうのか考えながら読んでいただけたらと思います。
ヘミングウェイ「老人と海」
きっときょうこそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ
ノーベル文学賞受賞作家でもあるアメリカの作家、アーネスト・ヘミングウェイによる中編小説「老人と海」。
漁師として思うように結果を出すことができない老人、サンチャゴの生き方を通して自然の摂理や人生の不条理の中でどう生きるかを考えさせられる名作です。
また、成果を出せず漁師仲間から馬鹿にされているサンチャゴを慕っている少年、マノーリンとの交流も心温まります。
ツルゲーネフ「はつ恋」
これが恋なのだ、これが情熱というものなのだ、これが身も心も捧げ尽くすということなのだ。
ドストエフスキー、トルストイと並んでロシア文学を代表する作家、イワン・ツルゲーネフの中編小説「はつ恋」
年上の令嬢・ジナイーダに恋をした16歳の少年・ウラジーミルの物語になっています。
複数の男を翻弄するジナイーダを見て不安になりながらも、その視線が自分に向けられるたびに喜んでしまうウラジーミルの純粋さが見事に描かれています。
しかし、そんな青春の代名詞のような甘酸っぱい初恋だけでは終わらず、誰かに夢中になることの恐ろしさや残酷な側面が描かれているのも大きな魅力の一つです。
カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
日本でも綾瀬はるかさんや三浦春馬さん出演のドラマで映像化されたため、ストーリーをご存知の方も多いのではないでしょうか。
「わたしを離さないで」イギリスを舞台に「(臓器)提供者」として育てられる子供たちの運命を描いています。
将来の夢を持つことや自分の人生を生きることが許されない子供たちを通して、人間とは何か、生きるとは何かを考えさせられる名作です。
フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」
「ギャツビー、君に比べたら連中はくだらないよ。束になっても君にかなわない」
アメリカの作家、スコット・フィッツジェラルドの代表作「グレート・ギャツビー」
好きな女性に振り向いてもらうために富を手にした主人公ギャツビーの悲劇的な人生と、彼を取り巻く華やかな生活をした人々の傲慢さや薄情さを見事に描き切っています。
ギャツビーの純愛を通して、アメリカンドリームを夢見た当時の人々の生き方に対して一石を投じるような内容にもなっています。
サガン「悲しみよこんにちは」
物憂さと寂しさがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しく立派な名をつけていいものか、私は迷う
1954年に発表されたフランスの作家フランソワーズ・サガンが18歳の時に書き上げた処女作「悲しみよこんにちは」
恋愛に夢中になったり、夢を追いかけたりすることに対してどこか冷めている17歳の少女・セシルの思春期特有の残酷さが描かれている青春文学の金字塔です。
女遊びを繰り返している父親と二人での生活や、彼女が抱いている厭世的な感情がセシルの視点から描かれていて、同世代の学生はもちろん、大人になってからも、そんな少女のリアルな心の動きには心にくるものがあるのではないかと思います。
カミュ「異邦人」
そして、自分の滑稽さを承知しつつ、それは太陽のせいだ、といった。廷内に笑い声があがった。
1942年刊行のアルベール・カミュの小説「異邦人」
母の葬式で涙を流さず、翌日に海水浴に行き、女性と関係を持って、人を殺したムルソーという男の人生が描かれている小説です。
人を殺した理由を裁判で聞かれると「太陽のせい」だと答えた場面が有名で、誰からも理解されず後ろ指を刺されて死んでいく主人公の異質さを「異邦人」と表現しているように感じます。
また、マリイというガールフレンドができるも、愛しているかを聞かれて「恐らく愛していないと思われる」と答えるシーンがあり、主人公は社会的に良しとされる振る舞いに適用する気がないのも、不思議な雰囲気をこの小説にもたらしています。
セルバンテス「ドン・キホーテ」
1605年に発表されたミゲル・デ・セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」
50歳前後の郷士アロンソ・キハーノは騎士道物語に没頭するあまりに、自分自身のことを遍歴の騎士だと思い込むようになり、旅に出るという物語です。
そんな老人が、自らに「ドン・キホーテ」と名付けたことからタイトルは来ています。
内容自体はボリュームがありますが、話は滑稽なコメディーチックな内容なので気軽に読むことができます。
トーマス・マン「ベニスに死す」
美というものだけが、神々しいと同時に見えるものなのだ。
1912年に発表されたドイツの作家、トーマス・マンの小説「ベニスに死す」
映画化もされているため、タイトルは聞いたことあるという方も多いのではないのでしょうか。
内容は著名な作家であるグスタフ・フォン・アッシェンバッハという老人がヴェネツィアへ旅行し、美少年タッジオと出会いのめり込んでいくという話。
コレラが流行ろうがアッシェンバッハはヴェネツィアを離れることなく、それどころか周囲の目も憚らず化粧をして少年の気を引こうとする場面もあります。
不器用に愛情を表現しながら破滅していく老人と眩しい程輝いている美少年の対比が痛々しくも美しく感じられる小説です。
デュマ・フィス「椿姫」
フランスの小説家、アレクサンドル・デュマ・フィスが1848年に実際の体験を基にして書いた長編小説「椿姫」
オペラにもなっているため、聞いたことのある方も多いかもしれません。
金遣いが荒く、多くのパトロンを抱えている高級娼婦のマルグリットが世間知らずで純粋な青年、アルマンに惹かれていくという話になっています。
マルグリットは病気を患っていて、最後に今までの贅沢な暮らしを捨ててでもアルマンと愛のある生活がしたいと心から願いますが、2人は住む世界の違いに悩まされたり、家族からの理解が得られず、すれ違ってしまいます。
悲しい物語ですが、パリの社交界の雰囲気や本当の愛情を知って変わろうとするマルグリットの姿が印象的な名作です。
フローベール 「ボヴァリー夫人」
19世紀中頃に発売されたギュスターヴ・フローベールの小説「ボヴァリー夫人」
華やかな生活に憧れていたはずのエンマという農家出身の女性が不倫と借金で自身の首を締めてしまい、最終的に服毒自殺するという衝撃的な内容が話題になりました。
当時、公序良俗に反するとして裁判にもなっています。結果は無罪でしたが、その影響もあり小説はベストセラーになりました。
エマの非合理な行動や堕ちていく様が見事に芸術に昇華されていて、人間味のある物語を楽しむことができます。
リチャード・バック「かもめのジョナサン」
1970年にアメリカで発表され、全世界で4000万部が売れた大ベストセラー「かもめのジョナサン」
主人公はジョナサン・リヴィングストンというかもめで、飛ぶことが何よりも大好きでした。
そんなジョナサンは仲間から理解されず馴染めない中で、速く飛ぶ方法をたった1人で模索し続けるという話です。
主人公はかもめですが、周囲から理解されず「普通に生きるべきなのではないか」と悩みながらも自分の信念を貫こうとする姿には、世代を超えて普遍的な感動があります。
何かを成し遂げようとしている人、自分は普通ではないのではないかと悩んでいる人に是非読んで欲しい一冊です。
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