きのこ帝国のおすすめ曲15選 感傷的になった夜に聴きたくなるバンド

2007年に結成されたロックバンド、2015年にデビューしたきのこ帝国。

バンド名はゆらゆら帝国からとられていて、初期の陰鬱なシューゲイザーから軽快なポップソングまで幅広い楽曲があるバンドです。

今回はそんなきのこ帝国のおすすめ曲を知名度の高い定番曲から隠れた名曲まで紹介していきます。聴いたことのない曲があったら是非聴いてみてください!

東京


メジャーデビュー前の代表曲の一つ「東京」

人気の高いデビュー前2ndアルバム「フェイクワールドワンダーランド」に収録されています。

銀杏BOYZやくるりの「東京」のように、地方から上京したミュージシャンが作る「東京」という楽曲はノスタルジーを纏ったものが多いですが、この曲はそれとは全く別のベクトルで作られた名曲です。

ミドルテンポでシューゲイザー色が強くエモーショナルな気持ちになれる楽曲になっています。

窓から光が差すようにあなたに出会えたこの街の名は東京」という終わり方にもあるように、大切な人に出会えた東京を愛おしく思う気持ちが轟音に乗せられています。

夜が明けたら


デビュー作「渦になる」に収録された初期の名曲「夜が明けたら」。

「渦になる」は全てが捨て曲なしの名盤なので是非全曲聴いて欲しいのですが、その中でもこの「夜が明けたら」はアルバムの中のハイライト的な1曲です。

星屑のようなキラキラとしたアルペジオから始まり、気怠げに自分の過去に対する後悔が歌われていきます。

夜が明けたら許されるような気がして 生きていたいと涙が出たのです」と歌われ、最後は夜明けを祝福するかのようにテンポが上がっていく終わり方もグッときます。

人生に迷った時や、自分の過去を思い返したりして感情がぐちゃぐちゃになった時に聴いて欲しいです。無気力でどうしようもない時に聴いたら、きっと何か感じるものがあるんじゃないかと思います。

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クロノスタシス


アルバム「フェイクワールドワンダーランド」に収録されている代表曲。

好きな人と缶ビール片手にする休日の深夜の散歩の心地良さを歌ったミドルテンポの楽曲です。

時計の秒針の針が止まって見える現象「クロノスタシス」と「穏やかな時間がこのまま続けば良いのに」という気持ちがかかっています。

「花束みたいな恋をした」でも印象的なシーンで使われていて、それで更に知名度を上げた曲です。

海と花束


2013年リリースのEP「ロンググッドバイ」に収録されている楽曲「海と花束」

強い未練を焦燥感溢れるフィードバックノイズと切ないメロディーで表現した名曲です。

花束を手に海に向かって、思い出を手放そうとするような情景が目に浮かびます。歌詞を見ながら是非聞いてみて欲しいです。

伝えたいことなど とっくのとうに無い
錯覚起こしてる ただそれだけなんだよ
ごめんね ごめんね これでもう忘れよう
花束抱えて 海へと向かった
最初で最後の 他愛ない約束をしよう
きっともう会えないから 僕たちはいつも
叶わないものから順番に愛してしまう
ごめんね ごめんね これでもう最後さ
伝えたいことなど とっくのとうに無い
錯覚起こしてる ただそれだけなんだよ ただそれだけなんだよ

退屈しのぎ


個人的にきのこ帝国の中で1,2位を争うほど好きな曲です。「渦になる」に収録されています。

ベースとドラムだけをバックに「ゴミ箱みたいな部屋のなかで、時が過ぎるのをただただ待っている、それだけ」と気怠げに歌われ始まります。

曲の長さは8分以上もあるのですが、「静」と「動」の緩急が激しくとにかく圧倒されます。

特に中盤の間奏でフィードバックノイズが入ってくる展開に感情を揺さぶられます。

インタビューでもボーカルの佐藤さんが「嫌いな人に向けて書いた」と明言していて、四畳半的な閉塞感の中で溢れる強い憎しみと虚無感のようなものでいっぱいの曲になっています。

唐突に始まるお前の昔話
聞きながらアルペジオ
冴えないノンフィクションの結末を
握っているお前の手は冷たいから嫌だ
やさぐれ吐く息に混じる声が歌い出す

金木犀の夜


2018年発売メジャー3rdアルバム「タイム・ラプス」収録。

夏の終わりのノスタルジックな気持ちと昔好きだった人のことをぼんやり思い出す一夜が描かれているキャッチーな1曲。

今まで紹介してきたようなメジャーデビュー前の楽曲と比べると、そこには強い感情の爆発という印象はなく、声も心なしか明るく伸びやかになっているのが分かります。



ラストデイ


「フェイクワールドワンダーランド」収録の楽曲「ラストデイ」。

大晦日のことを歌った曲ですが、大事な人との関係の終わりに思いを馳せてしまうような切なさもある曲になっています。

あたたかい缶コーヒー
買って、君に握らせた
“あたたかい”と笑って
君は僕の手を握った
手を繋いで 少しだけ昔
馬鹿げた些細な出来事も
忘れないでいようと約束をした

猫とアレルギー


メジャーデビュー後1stアルバム「猫とアレルギー」収録。

ここから路線が変わり、ピアノやオーケストラの入った曲なども制作されるようになり好みが分かれたようですが、歌詞の内容は今までと変わらず、誰かに対する強い未練に溢れた曲になっています。

アレルギーでもあなたは優しく撫でた」という歌詞が切なく、未練を持ちながらも大事な思い出に対してほんの少しだけ前向きに向かい合っているような変化を感じます。

あと7日間で世界が終わるなら
なんて、
あんなどうしようもない例え話
他の誰にもしないでいて
これからもずっと

ハッカ


「猫とアレルギー」収録の「ハッカ」。

猫とアレルギーの中だとあまり知られていない曲なのかもしれないですが、個人的にとても好きな曲です。

ベースとドラムとキーボードだけで、ギターのないシンプルなバラードですが、綺麗なメロディーをそんなシンプルさが引き立てているように思います。

歌詞は破瓜とかかっていて、すれ違いによる別れのようなものが抽象度の高い歌詞で切なく描かれています。

ハッカのせいにしたつもりだけど
きみはわかっていたのでしょう
絡んだ髪の毛をほどいて
バイバイ、って部屋を出た

夢みる頃を過ぎても


2018年発売メジャー3rdアルバム「タイム・ラプス」収録。

「タイム・ラプス」のリード曲でもあり、一番最後に収録されているストレートなバンドサウンドが特徴の楽曲です。

変わらない物などないと気付いてしまった 気付きたくなかった

大人になることに対する戸惑いや、浮かび上がる理想と現実の間で葛藤する若者の姿に共感する人も多いのではないかと思います。



Donut


2015年発売のシングル「桜が咲く前に」に収録。

繊細な柔らかさを漂わせた表題曲「桜が咲く前に」とは異なって、カップリングのDonutは初期の頃を彷彿とさせるフィードバックノイズが響く曲です。

あまり知られてないですが、隠れた名曲です。特にメジャーデビュー以前のシューゲイザー寄りのサウンドが好きな人に聞いて欲しいと思います。

ユーリカ


「渦になる」とはまた一味変わってダークな路線のメジャーデビュー前のアルバム「eureka」収録。

不穏でサイケデリックな浮遊感が溢れるギターが印象的で、暗い精神世界の深淵を描いているような曲です。

歌われているのは現実と非現実の境目であり、生と死の境目でもあるようにも感じます。

きのこ帝国の中でもトップクラスに狂気的な雰囲気がある1曲です。

スカルプチャー


「猫とアレルギー」収録のロック歌謡的で少し異質な雰囲気を漂わせている「スカルプチャー」

「猫とアレルギー」の1つのテーマでもある誰かに対する強烈な未練や愛情のようなものはこの曲にも現れています。

また同じ香りに騙され振り向く 馬鹿みたいでしょう 駅のホーム きみに似た後ろ姿を」という歌詞にもあるように、きのこ帝国の中でも珍しいストレートな失恋ソングになっています。

Thanatos


2018年発売メジャー3rdアルバム「タイム・ラプス」収録。

最近の曲だと珍しく、「渦になる」の頃のサウンドが好きな人には刺さるようなストレートなギターロックが特徴です。

タイトルはギリシャ神話の死神を意味する「タナトス」のことで、死への衝動と葛藤、そして人生に対する脱力感のようなものが歌われています。

怪獣の腕の中


最後に紹介するのは猫とアレルギー収録曲「怪獣の腕の中」

タイトルからは想像もつかない包容さと温かさに溢れた楽曲になっています。

ボーカルの佐藤さんはインタビューで「“怪獣”っていうのは“男の人”って意味で書いてる」と言っていて、その後に「強がらないといけないシーンって多いかなと思うんですけど、そういうのを包み込むようなイメージで描きました。」と続けています。

アルバム「猫とアレルギー」の中でも愛情に溢れていて、メジャーデビュー後のきのこ帝国の開けた音楽性を象徴するような楽曲です。