人生が辛くなった時に聴いてほしい曲14選を紹介

誰にでも好きな曲の中にも何となく雰囲気やメロディーが好きな曲と「この曲がなかったら人生違ったかもしれない」と感じる程特別な曲があると思う。どっちも生活に欠かすことはできないけど、後者の曲は特に思い入れが強いことが多いし、きっとそこまで数も多くない。

大体の場合、そういう曲は悲しい曲であることが多いので、今回紹介するのは重たくて悲しい曲ばかりになってしまうけど、そういう曲が必要な時に1曲でも「救われた」と感じるような曲に出会ってもらえたらと思う。

The Jesus and Mary Chain「Darklands」


天国でも地獄でもない場所を「Darklands(闇の国)」と喩えて、そんな何も無い場所に行きたいと願っている人の曲。

The Jesus and Mary Chainの2ndアルバムの収録曲で、フィードバックノイズばかり鳴らし、ライブでは暴動が耐えなかったことから「第二のピストルズ」なんて言われていたThe Jesus and Mary Chainがクリーンなサウンドに転換し、自分自身と向き合って出てきた曲のように思う。

特に好きなフレーズを紹介させて欲しい。

僕が思うに 天国はあまりに地獄と近すぎる

天国と呼ばれる場所さえきっと地獄と紙一重だからと信じれなくて、だったら何もない場所に行きたいという気持ちは無気力な時にこそ共感できるんじゃないかと思う。

New Order「Sub-Culture」

現存するバンドの中で一番好きなバンド、New Orderの中で一番好きな曲を紹介したい。

「Sub-Culture」はイントロの電子音からバッドエンドの物語のエンドロールかのような哀愁があって、とにかく悲しい曲。学生時代、誰もいない夜の公園でよく1人で聴くのが好きだった。

こんな状態から何を得られるって言うんだろう? いつだって頑張っているのにいつも上手くいかない」「君だってそのうち家に帰ってしまうんだ」っていうサビの歌詞にとにかく救いがない。

New Orderの演奏(ボーカル)が下手くそなのは音楽好きにはよく知られていることなのだけど、そんな拙さが不安定な精神状態みたいで、独特の説得力を持っているようにさえ思えてしまう。

the HIATUS「Twisted Maple Trees」


ELLEGARDENの細美武士が立ち上げたプロジェクト、the HIATUSの初期の楽曲。

個人的な好みで言うとエルレよりもハイエイタスの方が好きなのでよく聴いていた。

この曲は夜の森の中を徘徊しているみたいに無機質なギターのリフがずっと一定のリズムで鳴っているけど、後半にかけて一気に感情が爆発するみたいに盛り上がる。

歌詞で言うと、特にこの部分が好き。

You shade your face
君は顔を曇らせて

And murmur something like
ぼそっとつぶやく

“Should I regret the color of my dress”
「違う色のドレスにすればよかったのかな」

意図せず誰かを傷付けてしまったり、些細なことで取り返しがつかなくなってしまう人の心の繊細さがこの短いフレーズに凝縮されているように思う。

もう二度と伝えることができない後悔の感情がやるせなく漂っていて心が抉られる気持ちになるけど、すごく好きな曲。

Radiohead「Let Down」


綺麗なアルパジオが特徴的なRadioheadの人気曲。

壊れながらも旋回を続ける飛行機と死にかけの虫がオーバーラップされて描写されたこの曲は、自分の人生みたいだと言うと大袈裟に思われるかもしれないけど、とにかく自分がとんでもなく惨めに思えたり、何もかもどうでも良くなった時に聴いて欲しいと思う。

そんな行為さえ「感傷的になるな、結局いつもの戯言だ」というフレーズにあるように全く無意味で気の迷いと紙一重のことなのかもしれないけど、それでもこの曲だけはそんな暗い部分と同じテンションでいてくれる気がする。

スピッツ「正夢」


離れてしまった好きな人との再会をずっと夢に見てる人の曲なのだけど、失恋の辛さ以上にそんな自分がおかしいということを自覚しながら壊れていくようなところが美しくて悲しい。

サビの歌詞を見て欲しい。

どうか正夢 君と会えたなら
何から話そう 笑ってほしい
小さな幸せ つなぎあわせよう
浅いプールでじゃれるような
ずっと まともじゃないってわかっている

最後の「ずっと まともじゃないってわかっている」で一気に突き落とされる感覚が痛快で、現実逃避をしていると分かっていながらもやめられない夢見ることのバカバカしさと素晴らしさを噛み締めることができる。

The Smashing Pumpkins「Today」

冒頭でいきなり「今日が人生の中で一番素晴らしい日だ」なんて言うから、楽しい一日を過ごした後の夕暮れに聞くような曲なのかと思って歌詞を見たら全然違くてびっくりした記憶がある。

そしてこの曲が自殺する1日前の心理状態を歌った曲であり、明日が来ないからこそ「明日が待ちきれない」と歌っているのだと気がついた。

実際にボーカルのビリーコーガンはこの時ニルヴァーナとパールジャムの成功によって鬱になっていたみたいだけど、この曲について「あれは自殺に関するひねくれた観察のようなものなんだけど、歌詞の裏にある本質は、君がありのままなら毎日は最高だってことなんだ。」とコメントしている。

個人的には死のうと思っているからこそ何でもできると感じる瞬間があるなら毎日そうやって生きてていいんじゃないか、自殺は選択肢として残しておいてとりあえず生きていけばいいんじゃないかと思える曲。

BUMP OF CHICKEN「プレゼント」


BUMPは中学の頃から22歳の今現在まで聴いているからなんだかんだもう10年近く聴いている。

世界に誰もいない気がした夜があって
自分がいない気分に浸った朝があって
目は閉じてる方が楽
夢だけ見ればいい
口も閉じれば呆れる嘘は聞かずに済む

この曲は心を閉ざしてしまっているけど、本当は誰かがやってきてくれるのを心の底から待っている人の歌で、特に「口も閉じれば呆れる嘘は聞かずに済む」ってフレーズがすごい。ここで嘘をついているのは周囲の人間じゃなくて、自分だってことに本当は自分でも気が付いているのが分かる。

このままだっていいんだよ
勇気も元気も生きる上では無くて困る物じゃない

そして極め付けはこの歌詞。意外とこういうことを歌ってくれる曲ってない。なんだかんだ元気を出そう、勇気を出そうって前を無理やり向かせて終わる曲がこの世の中には溢れている中、BUMPは自分には勿体ないくらい優しい言葉をかけてくれる。

the pillows「ストレンジカメレオン」

the pillowsを好きになるきっかけになった曲。

元々自分達の音楽が売れない苛立ちと、それでも聴いてくれるリスナーに対しての思いを歌った曲だけど、一つのラブソングとしても受け取ることができる曲になっている。

タイトルの「ストレンジカメレオン」は「周りの色に馴染めない出来損ないのカメレオン」というフレーズで歌詞の中に登場していて、本来人間は周囲の環境に適応して自分の色を変えられるはずのカメレオンなのに、そういう世渡り上手的なことが自分にはできないという意味で使われている。

周囲に馴染めない自分とそんな中で出会えた人との喜びと、それがいつか過去になってしまうことや、ある意味ではその人との出会いも無意味だったことなのかもしれないと考えてしまうことの悲しさが詰め込まれている。

もしも全てが嘘で ただつじつま合わせで
いつか慣ついていた猫は お腹すかしていただけで
すぐにパチンと音がして 弾けてしまう幻でも
手の平がまだ暖かい

いつか慣ついていた猫はお腹すかしていただけで」というフレーズがあまりにも悲しくて全開に心を抉られてしまう。

ピロウズの音楽は現実や社会からどこか遠い場所にあって、それがピロウズの音楽の純度を保っているような気がして好きだった。社会にとっては無価値であるが故に自分だけの特別なもののように感じられるのかもしれない。



Deerhunter「Nothing Ever Happened」


大学受験期に聞いていた曲。ヘンテコなメロディーとノイズっぽいサウンドがかっこいいなって思って聴いていたけど、「僕の人生は何も起こらない 人生はただ瞬き通り過ぎていくだけ」とサビで歌われていて更に好きになった。

今考えると良くこんな曲を聴きながら、明るい将来を夢見てするものである受験勉強を頑張れたなと思う。この曲に心底共感していながら、人生を全然諦めきれていないのが突きつけられたような気がする。

でも今思えばそんな負の感情をこういう曲が代弁してくれていたからこそ何かしらのエネルギーになっていたような気がしなくもない。

きのこ帝国「退屈しのぎ」

きのこ帝国で一番好きな曲。きのこ帝国の初期の楽曲は過去に対する後悔や無気力さを歌ったものが多くて、今のきのこ帝国も好きだけど当時のきのこ帝国が本当に大好きだった。

「退屈しのぎ」は四畳半的な空間の中での自堕落な生活が目に浮かぶ曲で、特に間奏のギターで叫ぶように始まるフィードバックノイズがかっこいい。

「唐突に始まるお前の昔話」っていうフレーズには恋仲になった相手にだけ抱く独特の軽蔑のような感情が込められていて、続く「冴えないノンフィクションの結末を握っているお前の手は冷たいから嫌だ」という歌詞でも、そんな相手に対する諦観が詰まっている。

大事だった人から自分も同じようにそう思われているんだろうな、と悟る時の悲しい瞬間がこの曲を聴いた時だけは供養されるような気がする。

Ride「Vapour Trail」


とても恥ずかしい言い方をすれば私的No.1失恋ソング。

英語が感覚的に理解できないから洋楽で歌詞が良いかどうかなんて正直あんまり分からないんだけど、それでもこの曲の詞が良いのは分かる。

タイトルの意味は「飛行機雲」で、青々とした空に走っていく飛行機雲の描写とRide特有のキラキラシューゲイザーが凄くマッチしている。

強烈な印象を残したかと思えば、君はすぐに消えてしまった」という出だしから「僕の人生の時間は全て君のものなんだ/ 僕たちが愛を示し合うにはいつも時間が足りなすぎる」って歌詞までもう文字通り青臭い。

青臭いけど、心の真ん中にある暖かい感情そのままのような気がして、これを聴くと好きだった人が世界そのもののように思えていた学生時代に還れるような感覚になれる。

Fukai Nana「K」


ライブハウスでたまたま聴いて好きになった曲。DIIVとかに近いシューゲイザーでカッコ良くて、一応日本のバンドなんだけどボーカルはイタリア人だそう。

「K」は「Karin」という女の子の頭文字で、日本での一時的な恋愛を描いた曲なのか「ロストイントランスレーション」みたいな異国情緒のようなものを感じる曲。

最後に全開のフィードバックノイズの中で「Karin, I love you」と叫んで終わるのも悲しい。

感傷的で焦燥感があって、何か考え込みたい時に聴きたくなる。



betcover!!「決壊」


ちょっと昭和っぽい曲なんだけど、とても良い曲。

サビの焦燥感と「明日以外の朝を迎えたい」って歌詞がとても好きで、明日がきて欲しくない時とか眠れない夜に良く聴いていた。

濡れたまぶたの僕は
仮面を被って
地平線の向こうを思い描いてみた

個人的にこの曲は社会人になって日曜日の夜に聴くのが好きで、「また明日も会社に行って働いてご飯を食べて終わりなんだろうな」とか「自分の人生このまま終わるのかな」とか漠然とした不安に襲われた時に聴くとすごく落ち着く。

Wilco「Radio Cure」


ラジオから流れてきた音楽に救われた人の話…だと思って聴いている曲。Wilcoの曲は明るい曲があんまりないけど、その中でもこの曲は葬式のように暗い。

聴かせた友達には何だか退屈だと言われてしまったし、実際そう聞こえる曲なのも分かっているけど大学時代にこれもよく聴いていた。

真っ暗な海底にいるみたいな不穏な雰囲気と、サビでメロディーと共に鳴らされるグロッケンのキラキラした響きの対比がとにかく綺麗で悲しい。

基本静かなんだけど、最後はドラムが盛り上がり「Oh, the distance has the way making love understandable」というフレーズがお世辞にも上手いとは言えないボーカルが絞り出すように叫んで終わる。

この「the distance has the way making love understandable」というフレーズは前半では「the distance has no way making love understandable」となっていて、後半で意味が全く真逆に変わるのも好き。

直訳すると「the distance has the way making love understandable」は「その距離は愛を理解可能にする術を持っている」となって、精神的に疲れてしまって自分が離れてしまった人や音楽に対しても「まだ間に合う」と伝えてくれているような曲に思える。




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