=LOVE「あの子コンプレックス」歌詞の意味を考察。沈む船は戻らない

「あの子コンプレックス」は2022年5月に発売された11枚目のシングル。

今回のシングルは表題曲では6枚目シングル「ズルいよ ズルいね」以来の失恋ソングであり、自分と対照的な純粋無垢な「あの子」に対するコンプレックスをテーマにした楽曲になっている。

アイドルの楽曲の中では歌詞の抽象度がやや高く、何回も聴いてても初めての解釈にまた気付かされるような、そんな楽曲になっているのも魅力だ。

目次

「あの子コンプレックス」の歌詞の意味考察

冬までの粉雪は汚れた雨に変わってた

決断したようで未練があること

空だけが気付いて泣いている

「汚れた雨」を見ている主人公。

サビでも「色付いた雪じゃ愛されない 真っ白に戻して」と出てくるように、主人公は自分のことを嫉妬や劣等感で汚れてしまったと感じている。

綺麗な粉雪が汚れた雨に変わる様子を見て、純粋無垢では無くなってしまった自分自身に重ねているのが冒頭でも分かる。

私の目に映ってるあなたは嘘をついてる
あなたに映ってる私は知らないふりした

お互い核心に触れずに誤魔化し合っている絶妙な空気感が詰まっている一節。

ここでの嘘は相手を貶めるような嘘ではなく、優しい嘘であることが透けているのもこのフレーズの切なさを増しているように思う。

特別じゃないならあんな顔見せないでよ
まだ好きでごめんね
願いただひとつ こっちを見て

優しい嘘をつかせていることを分かっていながらも、特別な人に向けるかのような「あんな顔」を見せてくれる好きな人と一緒にいることをやめられない主人公。

「まだ好きでごめんね」というフレーズは、「まだ諦められなくてごめん」という意味もありつつ、「自分なんかがずっと好きでいてごめん」という、主人公が抱いている劣等感や自己否定を感じさせるところがまた悲しい。

沈む船は戻らない

それでも海を孤独に彷徨う

色付いた雪じゃ愛されない真っ白に戻して

恋に溺れていく自分自身のことを、海に彷徨う船に例えているサビ。

そして「色付いた雪じゃ愛されない 真っ白に戻して」と、汚れてしまった自分自身を「真っ白」に戻して欲しいと願う。「真っ白」(純粋・素直)で、自分とは違い愛されている「あの子」の存在を感じさせるフレーズでもある。

今日も欠けた月を満たすように優しく 足りないもので溶かして
もう全ては要らないの 愛だけが欲しい このままずっと

欠けた月とは、完璧ではなく欠点やコンプレックスを抱えた自分自身のことを指している。

そんな欠点を全部包み込んでくれるような優しさを、あなたから欲しいと願っている主人公。

君を嫌いになれるパズルのピースはあるのに
完成するのが怖くて触れず 今日も心に隠している

嫌に思う瞬間はあるし、諦めた方が楽なことは心のどこかで分かっていながらも「嫌い」というパズルが完成してしまうことは怖いと感じてしまう。

宝物じゃないなら 大事にしないでほしい
乾いた切ない胸に あなたは少し水を足す

1番でも出てきた「特別じゃないならあんな顔見せないでよ」とも近い、一番ではないけど、それなりに大事にされることの辛さを感じさせるフレーズ。

「乾いた切ない胸にあなたは少し水を足す」という、心が枯れて諦めるギリギリ手前くらいで優しくされてしまい、諦められないという気持ちは共感する人も多いんじゃないかと思う。

昔の2人なら どんな目で見つめ合うの?
何にも知らない 何もわかってない バカなふり

昔の2人では無くなってしまったことをまだ受け入れられてない主人公。

「また昔の2人のようになりたい」という気持ちを受け入れて、全面に出してしまったら、きっとあなたとの関係はそこで終わってしまう。

それに気が付いているからこそ、あなたの気持ちがもう自分にはないこと、でも自分はあなたと昔のようになりたいと思っていることに白黒つけず、「友達」のようなよく分からない関係を続けている自分に対して「バカなふり」をしていると、自虐的になっているように感じる。

星も消えたこの夜に あなたに導かれて雪になる
知らないバニラが香った時 魔法が解けていく

個人的に一番好きな2サビの歌詞。

主人公は、あなたと一緒にいることで自分が嫉妬や劣等感でいっぱいの「色付いた雪」ではなく、真っ白な「雪」になれたと感じる。

でもそんなふうに自分のことを肯定できる時間は長く続かず、あの子の「バニラ」の匂い(あの子の存在)を感じた時に、一気にそれが錯覚だったと気が付いてしまう。

その瞬間を「知らないバニラが香った時 魔法が解けていく」という言葉で表現している。

「雪」と同じ真っ白で、甘くて誰もが好きな「バニラ」の香りを纏っているという設定も、「色付いた雪」である主人公との対比になっている。

どうか 誰かに負けたわけじゃないって事 目を逸らさずに言ってよ
私が弱かっただけ、そう思わせて 優しい嘘を

好きな人の気持ちが自分に向かなかったこと以上に、「あの子」に負けたという事実が受け入れられない主人公。

だからこそ、せめて「私が弱かったから振り向いてもらえなかった」ということにしたい、と願い、優しい嘘をまた吐いて欲しいと願う。

主人公の劣等感やコンプレックスが滲み出ている一節であり、自己肯定感が低い人間には痛いほど刺さる歌詞になっていると思う。

運命じゃなかった2人は 来世では会えないでしょう
誰かみたいに甘えられたら Ah あの子 コンプレックス

「運命じゃなかったから来世で会いたい」ではなく、「運命じゃなかった2人は来世では会えないでしょう」と、来世ですら会えない関係だと感じているのが、主人公のネガティブさが滲み出ているように思う。

そして、あの子に負けた事実を受け入れられなかった主人公が、「誰か(あの子)みたいに甘えられたら」と思うのは、主人公がある意味で敗北を認めた瞬間であり、自虐的な開き直りのようなものも感じるフレーズになっている。

沈んでも沈んでもいい それでも恋は走って行くから
色付いた雪じゃ愛されない 真っ白に戻して

今日も欠けた月を満たすように 優しく
あの子に 触れているのでしょうか?
愛なんてもういらないよ 側にいさせて この海の中

自分のコンプレックスを全部包み込んでくれるような優しさを求めていた主人公。

でも、そんな優しさが自分ではなくあの子に向けられていると知り、「愛なんてもういらないよ」と感じてしまうのが何とも切ない。

1サビでは「もう全ては要らないの 愛だけが欲しい」だったのに、ただ「愛なんてもういらないよ 側にいさせて」に変わっている。

本当は、あの子に負けたことも、自分が愛されてないということも何も受け入れられてないのに、最後は本音を押し殺して終わるところは、すごくリアルに感じた。

本当は誰よりも好きになってもらいたいのに、望みがないと分かった瞬間「自分が好きでいれたらそれでいい」とか、「友達でもいい」と思ってしまうのは、傷付きたくないからこそ、多くの人が経験したことある感情だと思う。

恋愛は勝ち負けではないが、それでも特別になれるのは1人だけであり、そうなれなかった側の人間の行き場のない感情が、解決することもなくただ彷徨ったまま終わってしまうのが何とも悲しい。

なんだかバッドエンドの映画を観終わった時のような余韻を残していく曲だと改めて思う。

そして、「あの子コンプレックス」というタイトル通り、自己肯定感が低い人間が刺さるフレーズが散りばめられていて、恋愛で自信喪失して自分を否定したくなった人には広く聴いてほしい楽曲だと改めて感じた。




▼関連記事
櫻坂46「偶然の答え」MV 歌詞 考察 自分のその秘密に気付かされる

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次