=LOVE「あの子コンプレックス」歌詞の意味を徹底考察!沈む船は戻らない


指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE」

「あの子コンプレックス」は2022年5月に発売された11枚目のシングルです。

今回のシングルは表題曲では6枚目シングル「ズルいよ ズルいね」以来の失恋ソングであり、自分とは違い純粋無垢な「あの子」に対するコンプレックスをテーマにした楽曲になっています。

アイドルの楽曲の中では歌詞の抽象度がやや高く、何回も聴いてても初めての解釈にまた気付かされるような、そんな楽曲になっているのも魅力です。

今回はこの楽曲の歌詞について、大きく3つの要素に分けながら考察していきます!

あくまで筆者の解釈なので、自分なりの解釈を考える上で参考にしてもらえたらと思います!

1. 「あの子」の純粋さを表現する比喩の豊富さ

冬までの粉雪は汚れた雨に変わってた
決断したようで未練があること
空だけが気付いて泣いている

色付いた雪じゃ愛されない
真っ白に戻して

この楽曲では「雪」が純粋さの象徴として登場しています。

そして自分自身のことを「色付いた雪じゃ愛されない」と言っているように、主人公は嫉妬や劣等感で汚れてしまったと感じています。

反対にあの子は「バニラの香水」をつけている女の子です。

星も消えたこの夜に あなたに導かれて雪になる
知らないバニラが香った時 魔法が解けていく

「雪」と同じ真っ白で、甘くて誰もが好きな「バニラ」の香りを纏っているという設定も、「色付いた雪」である主人公との対比がされている箇所になっています。

「星も消えたこの夜」ということは「真っ暗闇」です。

そんな中、あなたと一緒にいることで自分が嫉妬や劣等感でいっぱいの「色付いた雪」ではなく、真っ白な「雪」になれたと主人公は感じます。

でもそんな自分のことを肯定できる時間は長く続かず、あの子の「バニラ」の匂い(あの子の存在)を感じた時に、一気にそれが錯覚だったと気が付いてしまうのです。

その瞬間を「知らないバニラが香った時 魔法が解けていく」という言葉で表すセンスがすごく好きな箇所でもあります。



2. 「欠けた月を満たすように優しく」とは?

今日も欠けた月を満たすように優しく 足りないもので溶かして
もう全ては要らないの 愛だけが欲しい このままずっと

今日も欠けた月を満たすように優しく
あの子に 触れているのでしょうか?
愛なんてもういらないよ 側にいさせて この海の中

欠けた月とは完璧ではなく欠点を抱えた自分自身のことを指してると思います。

そんな自分の欠点を全部包み込んでくれるような優しさを探していますが、そんな優しさが自分ではなくあの子に向けられていると知り、ラスサビでは「愛なんてもういらないよ」と感じてしまうのです。

「欠けた月」「色付いた雪」など自分のことを卑下した表現が豊富なのもこの曲の良さを出しているように思います。

3. コンプレックスを抱いた主人公の心情の変化

今回あの子コンプレックスの歌詞を見ていて最も印象的だったのがこの部分です。

まず、先ほども少し紹介していますが、1サビの歌詞が

もう全ては要らないの 愛だけが欲しい

になっているのに対して、ラスサビでは

愛なんてもういらないよ 側にいさせて

に変わっています。

好きな人に愛されたいから「あの子」にコンプレックスを抱いていたはずの主人公でしたが、コンプレックスの方が大きくなり、最後にはただ相手の気持ちよりも「あの子に勝って君の側にいること」が望みになってしまうのです。

ラスサビの焦燥感と相まってコンプレックスが膨れ上がった時の抑えられない醜さが昇華されていて、バッドエンドの映画を見終わった後の余韻のようなものを残していきます。

ここは2サビの「どうか誰かに負けたわけじゃないって事 目を逸らさずに言ってよ」「私が弱かっただけ そう思わせて」とも繋がっているように感じていて、だんだん耐えられなくなっているのは「好きな人から愛されてない」ことではなくて「あの子に負けた」ということなのだと思います。

少し話が逸れますがこの楽曲を聴いて感じたのは圧倒的な「あの子」と「あなた」の不気味な「不在感」です。

「あなた」はきっと誰にでも優しい人で、「あの子」は純粋無垢で甘え上手な女の子というのは楽曲の歌詞からなんとなく読み取れるのですが、リアルでドロドロとした心情を抱える主人公とは裏腹にあまり人間味がないような印象を受けました。

これはこの楽曲の歌詞そのものが主人公視点の心情にフォーカスしたものになっているというのと、コンプレックスというのがそれだけ周りを見えなくさせて自分のことだけになってしまっている空気感を演出しているような気がします。

悪く言えば余裕がない時に周囲の人のことを想像できず、「自分だけが不幸」だと思ってしまうような、そんな若気の至り的な視野の狭さでプロデューサーのさっしーが歌詞を描けているのが凄いと思いました。

失恋をテーマにした楽曲であることには間違いないですが、それ以上に自分の劣等感や他人と比べてしまう感情に焦点が当たっているため、失恋ソングというキャパを超えて自分に対して自信がない人に広く刺さる楽曲になっています。




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