【甘い大人の音楽】AORのおすすめ名盤20選

AORとはアダルト・オリエンテッド・ロックを略したジャンルで、主に70〜80年代に流行していた音楽ジャンルです。

甘く優しいソウル系のサウンドのものや、ジャズやボサノバを取り入れた都会的でおしゃれなサウンドが特徴とされています。

パンクロックブームがやってきた70年代後半、若者たちが新しい音楽であるパンクを聴いている中で大人の音楽として生まれたとも言われています。

今回は元レコード屋店員の筆者がAORの名盤を20選、有名どころから隠れた名盤まで厳選して紹介します!



70〜80年代のAORの名盤

TOTO「TOTO IV ~聖なる剣」


1982年にリリースされたTOTOの4作目。

グラミー賞6部門を受賞した大ヒットアルバムです。

セールス的にも大成功と言えるこのアルバムの収録曲「Africa」や「Rosanna」は40代以上であれば、一度は聴いたことのある楽曲だと思います。

B面も入れると10曲全てシングルカットされているほど、全ての楽曲のクオリティーは高いですが、民族音楽的でありながらも美しいコーラスを楽しむことができる「Africa」は特に必聴です。

おすすめ曲:「Africa」「Rosanna」

Donald Fagen「The Nightfly」


1982年にスティーリー・ダンのメンバー、ドナルド・フェイゲンがリリースした初のソロアルバム。

発売から40年以上経っていますが、未だに古臭さを感じさせず、新しささえ感じるクールで上品な名盤です。

ポップ史においては、初めてフルデジタルレコーディングされた最初のアルバムの一つとしても名を残しています。

楽曲はとにかく緻密で洒落ていて、心地良さを感じられるので、夜のドライブや部屋でゆったりと過ごすのにぴったりです。

おすすめトラック:「IGY」

Steely Dan「Aja」


前述のドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーを中心に結成されたバンド、Steely Danの名盤「Aja(エイジャ)」

今作は1977年にリリースされた6枚目のアルバムで、最高傑作と評されることが多い作品です。

当時ジャズ界で名高かかった凄腕ミュージシャンを集めたセッションによる洗練された大人の音楽を楽しむことができる1枚になっています。

元カノと遭遇した時のことをコミカルに歌い上げたオープニングトラック「Black Cow」や身投げしてしまったハリウッド女優を歌った「Peg」など、知的な文学のような趣もあるのもこの作品の大きな魅力です。

おすすめトラック:「Black Cow」「Peg」

Boz Scaggs「Silk Degrees」


1976年発売、AORの帝王と称されたBoz Scaggsの代表作「Silk Degrees」

クールで鋭角なファンク「Lowdown」や、美しく切ないメロディーが胸に残る名バラード「We’re All Alone」など、捨て曲なしの名盤です。

バラエティに富んだ内容になっているので、音楽が好きな人には幅広く聴いて欲しい1枚です。

おすすめトラック:「Lowdown」「We’re All Alone」

Doobie Brothers「Minute by Minute」


1982年に発売された8作目「Minute by Minute」

ドゥービー・ブラザーズはロック期とAOR期に分かれますが、「Minute by Minute」はAOR期を代表する名盤です。

このアルバムの収録曲でもある「What A Fool Believes」はグラミー賞を受賞しています。

マイケル・マクドナルドが参加してからは3作目のアルバムで、都会的で綺麗な大人のハーモニーを楽しむことができる作品になっています。

おすすめトラック:「What A Fool Believes」

Airplay「Airplay」


1980年発売作にしてエアプレイ唯一のアルバム「Airplay」

当時AORサウンドを牽引していたデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンが結成したユニットというだけあり、AORの良さを凝縮させたような1枚になっています。

「Stranded」のようなハードロック的なトラックから、「After The Love Is Gone」(EW&Fのセルフカバー)のようなしっとりとしたバラードが収録されています。

おすすめトラック:「Stranded」「After The Love Is Gone」

Christopher Cross「Christopher Cross」


1979年発売のデビュー作にして代表作「Christopher Cross(南から来た男)」

Ride Like the Wind(風立ちぬ)とSailing(セイリング)などの代表曲が収録されていて、透き通るような高音が綺麗で聞き惚れます。

夏の甘い思い出を思い出させるようなノスタルジーと親しみやすいメロディーが心地良い気分にさせてくれる名盤です。

おすすめトラック:「Ride Like the Wind」「Sailing」

Ned Doheny「Hard Candy」


1976年発売の代表作でウエストコーストAORの名盤「Hard Candy」

前述のクリストファー・クロスと同様、ジャケットのイメージ通り夏に聴きたくなるような爽やかな一枚です。

あまり知られていませんが、実はこのアルバムに収録されている「Get It Up for Love」は東京事変が「恋は幻」という邦題と同名のタイトルでカバーしています。

爽やかさ全開の楽曲もありますが、切なさ溢れるアコースティックギター中心の楽曲も良い曲が多く、是非全編通して聴いて欲しい1枚です。

おすすめトラック:「Get It Up for Love」「When Love Hangs in the Balance」

Kenny Loggins「Nightwatch」


1978年発売のセカンドアルバム「Nightwatch」

Kenny Loggins名義では最高セールスを記録した作品になっています。

先ほど紹介したDoobie Brothers「Minute by Minute」に収録されている「What A Fool Believes」はケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドとの共作で、このアルバムにも収録されています。

全米5位にもなったヒット曲「Whenever I Call You “Friend”」は、フリートウッド・マックのメンバーとして知られているスティーヴィー・ニックスとの共作で、都会的な洗練されたサウンドに彼女の少しハスキーな声がよく合います。

おすすめトラック:「What A Fool Believes」「Whenever I Call You “Friend”」



Stephen Bishop「Careless」


1976年に発売されたデビューアルバムにして代表作「Careless」

アコースティックギターの落ち着いた楽曲が好きな人に特におすすめしたい1枚です。

聴きやすく繊細で甘い歌声が優しく、心にすっと入ってきます。

どちらかと言うとTOTOなどのフュージョン寄りのAORよりもしっとりとしたAORを楽しみたい方におすすめです。

おすすめトラック:「On and On」「Every Minute」

Bobby Caldwell「Bobby Caldwell」


「イブニング・スキャンダル」という邦題としても知られている、Bobby Caldwellの代表作。

出身地でもあるアメリカではそこまで知名度はそこまででしたが、日本での人気が特に凄まじかったと言われている珍しいアーティストです。

ソウルフルな歌声と哀愁のある切ないメロディ・ラインが特徴的で、クセになります。

また、代表曲「What You Won’t Do For Love」にあるような「What you won’t do, do for love(君がきっとしないようなことも、僕は愛のためにするんだ)」という詞の良さも魅力的です。

おすすめトラック:「What You Won’t Do For Love」「Come To Me」

David Gates「Goodbye Girl」


Breadの中心メンバー、 David Gatesの3作目「Goodbye Girl」

アルバム名と同名のトラック「Goodbye Girl」は映画「グッバイガール」の主題歌にもなりました。

「Goodbye Girl」は甘くてほろ苦いメロディーが悲しいほど綺麗な名曲です。これだけでも是非聴いてもらえたらと思います。

おすすめトラック:「Goodbye Girl」



Al Stewart「Year of the Cat」


1976年に発売されたアル・スチュアートの7作目「Year of the Cat」

代表曲「Year of the Cat」は切なさのあるピアノのリフとソフトなボーカルが印象的な名曲です。

歌詞も文学的で、特に好きなフレーズを紹介します。

She comes out of the sun in a silk dress
彼女はシルクのドレスを身に着けて

running like a watercolor in the rain
太陽のなかから走って出てきたんだ、雨のなかの水彩画のように

Don’t bother asking for explanations
説明を求めて困らせちゃいけないよ

She’ll just tell you that
彼女はすぐにきみにこう言うだろう

she came in the year of the cat
“アタシ「猫の年」からやってきたの”って

おすすめトラック:「Year of the Cat」

Air Supply「Lost In Love」


1980年に発売された5枚目のアルバム「Lost In Love」

Air Supplyが商業的な成功を手にした決定打的な1枚でもあります。

甘くて伸びのある歌声が特徴的で、代表曲「Lost In Love」はアコースティックを基調としたサウンドとそんなボーカルが合わさった名曲です。

おすすめトラック:「Lost In Love」

Nolen & Crossley「Ambience」


1982年に発売されたアメリカのソウルデュオ・Nolen & Crossleyの2ndアルバム。

マーヴィン・ゲイの「In Our Lifetime」に参加してることでも知られています。

ファンク色の強い今作ですが、「Nice To Have You Back」「A Place In My Heart」のようなAORらしい楽曲も収録されています。

おすすめトラック:「Nice To Have You Back」「A Place In My Heart」

Niteflyte「Niteflyte」


1979年に発売されたマイアミのソウルユニット・Niteflyteのデビュー作。

デビューシングルの「If You Want It」は山下達郎にカバーされたことでも知られています。

夏らしい爽やかなサウンドが特徴的で、キャッチーなメロディと洗練された演奏を楽しむことができる名盤です。

おすすめトラック:「If You Want It」

00年代以降の現行AORの名盤

Young Gun Silver Fox「WEST END COAST」


2015年にリリースされたYoung Gun Silver Foxのデビューアルバム。

現行のAORといえば、個人的にはこのアルバムだと思います。

ジャケットのイメージを踏襲したかのような70年代のウエストコーストサウンドを楽しめる作品になっています。

哀愁と爽やかさを心地良く併せ持った良曲揃いの名盤です。

おすすめトラック:「You Can Feel It」

Dante Elephante「Mid-Century Modern Romance」


ディスクユニオンの通販でたまたま見かけて聴いてみた良盤。

カリフォルニアを拠点に活動するDante Elephanteの2021年作の2ndアルバムで、即完売となったことでも話題になったアルバムです。

チカーノソウルの範疇のようですが、優しい歌声と都会的なサウンドはAOR好きにはきっと刺さると思います。

そして少しユーモアがあるので新しい音楽と出会いたい方には是非おすすめです。

おすすめトラック:「Find Somebody To Love」

State Cows「STATE COWS」


スウェーデン発のユニットによる2010年作「STATE COWS」

Steely Danの影響を受けていると言われている作品で、70年代〜80年代のAORが好きな方に是非聴いて欲しい正統派なサウンドが特徴的です。

グラミー賞を受賞したジェイ・グレイドンが参加していることでも知られています。

おすすめトラック:「New York Town」

Martin & Garp「SENTIMENTAL FOOLS 」


オランダのAORユニット、Martin & Garpのデビュー作。

70年代のAORサウンドに対するリスペクトを前面に感じる作品になっています。

ポップで爽やかながらもどこか哀愁を感じさせてくれる1枚です。

おすすめトラック:「Start All Over Again」

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